中学校の時の話です。
その頃私はバスケット部に入っていて、帰宅は19時を過ぎることが多々ありました。
そして、その帰路は私は他の部員と一人だけ異なる方向に実家があったため、いつも一人でした。
そしていつもの通り、部活で遅くなり、一人でとぼとぼと山道をくだっていた晩秋の出来事です。
道の片隅に白い人影を見かけました。

その人影は、よく見ると溝の中に入って、私に背中を向けて立っています。
なんだか気持ち悪いな・・・と思いつつも他に迂回路もなく、おそるおそるその人の脇を抜けようと歩みを進めました。

5m、3m、2m・・・その人は微動だにしません。
私は半分逃げるような形で、通りすぎました。
こんな日が、3日続きました。

その人はいつも同じ場所、同じ様子で立っていて、何の意図でそんなことをやっているのかさっぱりわかりません。
そして4日目。
この頃になると、その人は気持ち悪い人間に変わりはない。
が、危害を与えるわけでもない、と判断していたので恐怖より好奇心が勝ってきていました。
そして湧き上がる好奇心にかられて、通る過ぎる瞬間、その人の顔をちらっと見てしまったのです。(にやっ)

笑顔を返してくれました。
すごく気持ち悪かったので、走って逃げました。
次の日、その場所を通ってみるといつもの白い服の人がいません。
どこかから見てるんじゃないか?
そんな不安もありましたが、その人が立っていた所、すなわち道路脇の溝を調べてみました。

「薔薇族」

「サブ」

「サムソン」

なんかマッチョな兄貴がムキムキしているA5サイズの雑誌が落ちていました。
やっぱり走って逃げました。