ある小学校に、一年中赤いマフラーをつけている少女がいた。
ある日、同じクラスの少年がその少女に、「おい、何でいつもマフラー着けてるんだ?」と聞いた。
すると少女は、「あなたが私と同じ中学校に行ったら、教えてあげる」と言った。
少女と少年は2人とも受験をせず、同じ中学校に入った。
同じクラスだった。

ある日、少年が少女に、「約束どおり教えてくれよ。何でいつもマフラー着けてるんだ?」と聞いた。
すると少女は、「あなたが私と同じ高校に行ったら、教えてあげる」と言った。
少女は偏差値が高い学校に入り、少年も彼女に理由を聞くためだけに受験し、同じ高校に入った。
同じクラスだった。

入学式の日、少年が少女に、「お前、何でいつもマフラー着けてるんだよ?」と聞いた。
すると彼女は、「あなたが私と同じ大学に行ったら、教えてあげる」と言った。
2人は偏差値の高い同じ大学に入った。
同じ学科だった。

いつしか2人は付き合い始めた。
仲が良く、ほとんど公認のカップルだった。
2人は大学を卒業し、同じ会社に就職した。
やがて結婚し、同じ家で暮らすようになった。
ある日、男は女に、ふと、何の気なしに、「なあ、お前、何でいつもマフラー着けてるんだっけ?」と聞いた。
すると女性は、「そうね。そろそろ教えてあげる」と言った。
そして、始めてマフラーを外した。
すると、彼女の首が、ごろん、と床に落ちた。
男は戦慄し、その場に凍りついた。

「あなたも、私と同じにしてあげる」

首が言った。

そして、赤いマフラーを持った体が動いた。
次の瞬間、男の首には赤いマフラーが巻かれ、「それ」が物凄い力で引っ張られた。
男の首が千切れた。
ごろん、と床に落ちるはずの首が、落ちなかった。
彼の首に青いマフラーが巻かれて、分かれた体と首をつなぎ止めていた。
それからも、もちろん今も、赤いマフラーをいつも着けている女性と、青いマフラーをいつも着けている男性は、同じ家で、いつもと変わらず暮らしている。