私が高校生だったある日のことです。

私の家族は床に就くのが結構早く、夜遅くに居間で一人でテレビを見ることが多かったです。
その日も22時過ぎにお風呂に入り、その後、居間で『あい◯り』を見ていました。

見終わって、まだ乾ききっていなかった髪を乾かしていると、どうも視線を感じます。
家族は全員寝ていたし、周りを見回しても誰も居ません。

居間の隣りには、座敷の部屋がありました。
その部屋と居間は、襖で隔たれているのですが、その日は開いていました。
もちろん、座敷には誰も居ません。
ですが、私の感じている視線は座敷からのようでした。

気になって視線のする方向を凝視してみましたが、誰が居るということもなく、仄暗い座敷の中が見えるだけでした。
でも、視線は確実に座敷の方から向けられています。

「気味が悪いな」

そう想い、急いで髪を乾かしながら、2階にある自分の部屋に向かうことにしました。

家中の電気を消し、階段を上っていると・・・先程、居間で感じた視線が後ろから感じます。
なんか嫌な気がして後ろをみると・・・ただ階下の暗闇が見えるだけでした。
その間も視線は感じます。
まるで階段の下から、私が上って行くのを見守るように・・・。

階段を上り終わり、廊下を歩いている間も感じる視線・・・。
いつもなら部屋に入った後、眠くなるまで本を読んだりするのですが、その日はどうもその視線が気になり、むりやり寝てしまおうと思い目を閉じました。

しかし、部屋の入り口(寝ると頭の方に入り口があります)から視線が・・・。
目を瞑っていても、どうしてもその視線が気になります。
私は、もう一度、視線がする方向を見てみました。

すると・・・。
襖の上のほうにあまり輪郭のはっきりしない白い顔がありました。
女性がやる紙製のパックってありますよね??
そんな表情の顔がありました。

首から下はなく、頭だけ・・・。
輪郭がはっきりしないのに、なぜか女性だと思いました。

そして、次々に自分の頭の中に、その顔の持ち主であろう女性の特徴が浮かんできます。
髪は真っ黒く、腰の辺りまであり肩のあたりで1回結んでいます。

着ているのは、かすれた感じのピンクがかった紫の薄い色の着物を着ています。
パッと見、室町~安土桃山時代の女性でした。

そこで、入り口の方を見るのを止め、布団を頭からかぶりました。
しばらくして、視線が感じられなくなり、入り口の方を見ましたが、顔はありませんでした。

その後は何か悪いことが起こったりはありませんでしたが、今思い出しても鳥肌がたったりします。