2ヶ月程前の話です。

僕は小中高と友達一人すらいない淋しい学生生活を送っていました。
そんな僕でしたが大学も決まり、さすがに「このままじゃいけない」と思いどうにか自分を変えようと大学でサークルに入りました。

僕が入ったのは心霊研究のサークルでもともとそういったオカルト的なことが好きだったのもあり軽い気持ちで入りました。
しかし、実際にサークル活動等は無いに等しく、ただ飲み食いしながら喋るといった内容の物でした・・・。

そんなことに全く慣れの無い僕ですが、サークル内でいつも皆の中心になってるS君が僕を気にかけてくれました。
いつも僕に話かけ、周りとも馴染ませようとしてくれたお陰で何とか上手くやっていけてたと思います。

少しずつ周りにも慣れ始め、色んな人達とも話せるようになった位のことでした。
S君が皆にこんな提案を出したんです。

「たまにはちゃんとしたサークル活動をしようか」

皆最初は戸惑っていましたが人望の厚いS君の発言ということもあり、ほとんどの人達がその提案に賛成しました。

そうなってからはとんとん拍子に話は決まり週末にS君の家で飲み食いした後、近くの廃墟になった病院に肝試しということになったのです。

そして週末になりS君の家に集まり肝試し前ということで一人ずつ怖い話をして気分を盛り上げてから・・・ということでみんな怖い話をしていきした。

僕の順番が来て親戚の隆史さん(母方の弟)から教えてもらった怖い話を話し、皆から一番怖かったという評価を貰いました。

皆見直したような感じで前以上に周りとの間も縮まったと思い、嬉々としながら肝試しに向かいました。

肝試しに行ったメンバーは9人で4、5の2グループを作り廃墟に入りました。
僕のグループはS君とO君とMさん(女性)と僕の4人です。
先に先発組が一通り回って戻った後に後発組が中を回ることになっていました。

先発組が帰ってきて「怖かった、かなり薄気味悪い」などの感想を聞き、緊張しながらも僕達後発組は廃墟の中へ入りました。

S君とO君は慣れた感じで淡々と中を歩いていましたが、Mさんと僕は横並びになりMさんは僕の裾を掴みながら二人でビクビクしながら進んでいました。

結構入り込んだ時でした、いきなり『カカッ』という音が鳴った後S君が僕の方に来て耳打ちしました。

「一緒にトイレに行かない?」

S君もさすがに一人だったら怖いのかな?と思い僕とS君は二人に「後で追い付く」と伝え、二人と分かれました。

S君は一人でどんどん進み地下室がある所で「この中がちょうどいいよ、見られないし」と言いながら地下室の階段を降りて行きました。

僕は地下室ということで怖さがありましたが一人残される方が怖くなり、S君の後を追って地下室へ降りて行きました。

地下室に入り中を懐中電灯で照らしました。
ですが・・・S君がいない・・・。

そう思った瞬間でした。

「ギィギ」と鈍い音を立て地下室のドアが閉まり鍵の閉まる音が背後から聞こえてきました。

何が起こったか分からず少し放心状態になった後、すぐにドアに駆け寄りドンドンとドアを叩きながらS君を呼びました。
するとドアの向こうから小さな音で『カカッ』と音が鳴った後に階段を上って行く足音を聞きました。
暗闇の中S君の足音が離れて行く音を聞きながら恐怖で頭が埋め尽くされました。

そこからの記憶は余り残ってはいません。
半狂乱になりながら必死でS君の名前を叫びながらドアを叩き続けたこと、2日後に助け出された時の事位しか記憶にありませんでした。

助け出してくれたのはO君でした。

閉じ込められたのは2日間だけでしたが消耗が激しかったらしく、右手首にヒビが入っていた為に1週間ほど入院することになりました。

僕が無事退院した次の日に自宅にO君とMさんが来てくれ、会った瞬間に謝罪をしてくれました。
そしてことの詳細を教えてくれました。

ここからは廃墟でのことです。

二人が先に進んでいるとS君一人だけが戻ってきて僕のことを聞くと「気分が悪くなったみたいだから先発グループに言って先に帰らせてやった」と聞いたらしいのでした。

二人は心配しましたが先発グループの車が無かった為、先に帰ったことに対して疑ったりは無かったみたいで、月曜に会えるだろうと考えていたようです。

ですが月曜になっても大学に僕の姿は無く、僕から月曜も来ると聞いていたMさんは心配になり先発グループの人に体調がそんなに悪そうだったかを聞いたようです。

すると「H(僕のことです)の体調が悪くなったから少し休ませるから長くなりそうだ、だから先に帰っていいとS君から聞いた」と聞き、S君にそのことを聞いた所「知らないよ」と白を切ったそうでした。

明らかにおかしいと思ったMさんがO君に話し、O君がS君に問いただした所、廃墟に閉じ込め置き去りにしたことが分かりMさんとO君二人で廃墟の中を探し地下室で僕を見つけたようでした。

O君は次の日大学でヘラヘラ笑いながら話してるS君を見つけあまりにもムカつき殴り付け「お前頭おかしいのか?あいつを殺す気だったんか!?」と怒鳴りつけると、S君はニヤニヤしながらこう言ったそうです。

「あいつさ最近調子に乗り過ぎね、根暗でキモい奴だったから話しかけてやったっていうのにさ、しまいにはMさんにも馴れ馴れしい、死んでも構わんでしょあんな奴」と言い放ったと聞きました。

話を聞き終わり、正直怒りとかより先に恐怖でブルッとなりました。

そんな人間がいること、そんな人間と今まで何も知らずに仲良くしようとしてたことを考えると怖くてたまりませんでした・・・。

O君は「警察に届けでるか?」と聞いてくれましたが、もし仕返しが来たらと思うと関わりたくないという気持ち方が強く届けでるのは止めることにしました。

その後は今回のことが周りに伝わったことで今までS君の周りにいた人達もS君の周りには誰一人寄り付かなくなり、いつの間にか大学からもいなくなっていました。

駄文長文で本当に申し訳ありません、読んで頂いた皆様本当にありがとうございます。