30年前に両親(と祖母)が遭遇した体験母から聞いた話。

時期は夏、両親は父の実家に帰省していた。
日中、父は伯父と共にある土地の整地の手伝いに行っていた。
その土地は新しく買った土地なのかどうかまでは詳しく聞いてないが、昔から管理してきたような慣れた土地でないことは確かだと思う。

さて整えようかという所で準備を始めると、三人は土地の一角に大き目の古びた石が鎮座しているのを見つけたそうだ。

整地の邪魔になるということで、やむなく伯父と父はその石を退かした。
夕方に普通に帰ってきて、夜も何事もなく就寝したそうなのだが、問題はその後。

深夜、隣で寝ていた父が起き出した気配がして、母は目を覚ました。
母がどうしたの?と聞くと、父は母の方をぐるり、と向いて「みず。みず」と無機質な声で父は答えたそうだ

異様な事態に母は父の肩を揺すりながら「どうしたん!?」と聞くが父が答えるのは「みず。みず!」ばかり。
何より目が人間の目をしておらず、獣のような眼光を放っていたという。

怖くなった母は、隣の部屋で寝ていた祖母を起こして来て貰うことにした。
その間に父は押入れに入り込んでおり、母と祖母は押入れの壁をガリガリと引っ掻きながら、「水・・・水・・・」と言い続ける父を見つけた。

そんな状態の父を、祖母は物ともせず支えて立ち上がらせた。
その後のことは母は知らない。

夜の暗さから極度に怖がる人なので怖さで付いて行けなかったのは無理もない。
方角的には台所と風呂場のある方へ祖母は父を連れて行ったようである。
やがて父の状態が落ち着いたのか、また祖母が父を連れて戻ってきた。
布団に寝かせるとそのまま静かに眠りについた。

翌朝母は父にこのことを話したが、父は全く覚えていなかった。

我が家は両家共々零感なのでそれの類の話はこれくらいしか無い。
おそらくその古い石には何かが憑いていて、勝手に動かしたのがまずかったのかも知れない。

そういう話は前々からなんとなくどこかで聞いたことのある話ではあったが、本当のことだとは・・・。

古い石の扱いにはお気を付け下さい。