怖いっていうより、不思議な話かもしれないけどいいかな?いいよね。
仕事が休みだったんで、T市の隣接する低山2つ(I山とK山とする)に一人で登ってきた。
トータルで5時間半くらいの軽い登山。
で、ちょっと怖いことがあったのは初めに行ったI山のほう。
古来から信仰の厚い山だそうで、山の中腹にはI神社がある。
なかなか由緒のある神社で怪しい経歴は何もない。

私は車がないので公共交通機関を利用。
本来はバスを下車してすぐそばに登山口があるんだが、私は何を間違えたのか車道をひたすら歩いて遠回りして山の中腹に到着・・・。
そこには小さくて古い別荘やら食事処が数件建ってたので休憩をした。
11時半くらいだったかな。

また少し登るとI神社(本殿)があった。
本殿は無人でなかなか厳かな雰囲気だった。
無人とは言え別荘や自然資料館とかなり近いためか綺麗に整備されていた。
無事参拝を終え、再び山頂に向かう。
そこで、二つの分かれ道を示す看板があった。

「I山頂へ至る」

「奥の院をへてI山頂へ至る」

そりゃあ寄るでしょうよ・・・と奥の院へと向かう。

奥の院は10歩ほど先にあった。
数段の階段を上ると、やっぱり普通の奥の院。
参拝を終える。

満足して山頂へ向かおうとしたところで目の端に動くものがあった。
ヤモリが賽銭箱の横にいた。
いや、正直ヤモリかわからん。
しっぽのほうキラキラテカテカしてたし。

もちろんこのときはオカルト的な発想なんて私の頭の中にはなかったし、中腹への行程でヘビの死骸があってわくわくしてたのでなにかの生き物だと分かってた。
で、逃げないようにそろそろとデジカメを取り出して写真に収めた。

無事撮り終わって屈んでた体を起こそうとした。
その時屋根から『ゴンッ』と軽い音がした。
大体音からどの程度のものがどこらへんから落下したって、分かりますよね?
奥の院の左側には木があったので、私にはそこから何かが落ちてきた音に聞こえた。

瞬間的に動物だと思った。
イタチか猫かなにか。
それで体を起こして屋根の上を見た。

すると・・・屋根の上には人の顔があった。
顔の鼻から上だけを出していた。
大きな目で瞬きもせずにこっちを見つめてる。
首も肩も手もない・・・。

驚いて情けないことに「ひいぃ」と声を出して逃げた。
だけどこの時はあまりにも生々しい人の顔だったので恐怖というより驚愕だった。
こういう得体の知れない存在って透けてて血色が悪いイメージがあるからかな。
すぐ近くの中腹に人がいるっていうのも大きな心の支えだったのかもしれない。

我ながらアホだと思うが、よほど久々な登山に気分が高揚していたのか、少しして登山を再開。(流石に奥の院にはもう行けなかったが)
元々霊感なんて欠片もないせいか昼に近付いて他の登山客とすれ違うことが多くなったためか、あの頭のことなんかすっかり忘れて残りの登山を楽しんだ。

隣のK山で何度か物音がしても動物だとまた自然に期待したし(実際ヘビだった)恐怖感なんて微塵もなかった。

くたくたになりながらも無事家に帰って、テレビを見て、夜寝る前に山の清々しさをまた一人思い出してたんだ。
そこであの頭を思い出してどっと恐怖感が襲ってきた。
自信をもって言うが、あれは生きた首だけだった。

誰かのいたずらかとも思ったが、あんな小さな奥の院の屋根に人が最初から隠れていたんなら絶対に気付く。

参拝中に誰かが左側の木から下りてきたんだろうかとも思ったが、あの木は人間の重さに耐えられるほどの枝ではなかったと思う。
白眼と肌が驚くほど綺麗。
年は不明。
一体なんだったんだろう。