昨日のこと。
俺の部屋には窓が3つあって1つは出窓になってる。
その出窓の所にベッドがあって俺はベッドに潜ってた。

中々寝付けなかったんでベッド脇にあるルームランプを付けて漫画を読み始めた。
3冊目を読み終えた所で煙草に火をつけて天井をボーっと見上げていた。
すると『ドゥドゥドゥ、キーキキー』と新聞配達のカブの音が聞こえてきた。
ちなみにうちは防音性が悪く窓を閉めていても、家の前を通る車の音や人の話声がよく聞こえる。

「もうこんな時間かぁ」と思い時計に目をやると4時を回っている。
明日は休みだし、もう1冊読もうと煙草を消して漫画を読み始めた。

しばらくするとすると『キーキキーキー』とまたカブのブレーキ音が聞こえてきた。
またしばらくすると『キーキキーキー』とまたカブのブレーキ音だ。

この時間まで起きてるのは週末じゃそう珍しいことではないし、新聞配達のカブの音なんて聞き慣れている。

でもどうもおかしい。
ブレーキの回数が多すぎる・・・。
普段ならうちの周りを配り終えるだけの時間は過ぎているし、気のせいかやけに耳触りだった。
まあ配り忘れか何かだろうと思い、気にしないようにしてまた漫画を読み始めた。

『キーキキーキー』

まただ。
気のせいか音が大きくなっている気がした。
もう寝ようと思いルームランプを消し頭から布団に潜った。

『キーキキーキー』

また聞こえた。
しかも気のせいじゃない。
音が大きくなってる。

『キーキキーキー』

『キーキキーキー』

連続して音が聞こえた。
さすがに不思議に思い布団から出てルームランプを付けた。
出窓から外を見ようとカーテンを空け窓を開けた。

顔を出し家の前の通りを見ていたがカブのエンジン音もブレーキ音も聞こえない。
おかしいなと思い窓を閉めた。
その時だった。

『キーキー』

『キィーキキー』

これはブレーキの音じゃない。
そう直感した。
しかも大きくなってるのではなく近づいてきている。
そう思うと途端に怖くなりカーテンも閉めずルームランプも付けたまま布団に潜りこんだ。

『キィーキィー』

『キィーキィー』

間違いない。
これは人の声だ。
叫び声だ。
体中から汗が出てくるのを感じた。

『キィー』

体がビクっと震えた。
今までで一番大きく、そして一番近い所からその声は聞こえた。
もう限界だった。
逃げよう。
そう思い布団から起き上がろうとすると『ドンッ』・・・。

窓に何かぶつかる音がした。
俺はそのままベッドから崩れるように落ち部屋を出て1階に降りた。
家の電話から近所の友人に電話を掛け、頼むからすぐ来てくれと必死に頼んだ。
外で待っているとすぐに友人は来てくれた。
理由は後で話すからと車に乗り今友人行ったが、その後怖くて家に帰っていない。

音の正体や意味がわからないが、あんな怖い経験をしたのは初めてです。