5年くらい前の話になります。

ある週末、家にお客さんが来ていました。
私は遊びに行くため着替えをして準備していました。
お客さんは、50歳くらいで白いシャツに五分刈りでした。

私「こんにちは」

客「こんにちは。おー久しぶり!!」

???誰だか全く覚えていません・・・。

私「ちょっとしばらくぶりで覚えていないのですが・・・」

客「あーしばらくぶりだね。覚えてるよねー。ホラお父さんのー」

私「えっ。ちょっとわかりません。あっ。おじさんですか?」

客「違うよ。お父さんの親戚だよ」

私「あっ。◯◯にーちゃん?」

客「そうそう。◯◯だよ」

なんだかオレオレ詐欺みたいでしたが、お客さんは香川県出身のお父さんの方の親戚のいとこということでした。
うどん県の訛りが全くなく、標準語なのでおかしいと思いましたが、上京して20年くらいの年の離れたいとこだと思い納得しました。
いとことは兄ちゃんが大学生、私が幼稚園の時に一度会っただけです。

にいちゃんは、もう50近くになっていました。
本当に全く見覚えがなかったのですが、両親と楽しそうに話す姿をみて信用しました。

なんか適当に近況などの世間話をしていたのですが、ある瞬間兄ちゃんの腕に水晶のブレスレットがはまっているのを発見。
大きな粒の水晶だけのブレスレットで、オヤジっぽかったです。

ダサい・・・。
一瞬そう思った私の目をみて兄ちゃんは、「僕はこういうの好きなんだ」と、笑って言いました。

「そうかぁ。きれいだもんねぇー」とかなんとか、お茶を濁していると今度はさらに凄いことを発見。

兄ちゃんは白いシャツの中に白いランニングだったのですが、シャツがはだけた拍子にお坊さんとかがする、二重に首に巻く水晶の長い数珠を首にかけていました。
すごいりっぱな数珠でした。

驚く私を見て兄ちゃんは「こういうのみんなしているから」といいました。

カルト宗教にはまっちゃったのかな?と思いそういう質問をしましたが、特に宗教などにははまっていないと繰り返していました。

いろいろ質問していると、ブレスレットや首の数珠の水晶の中に、墨で描いた黒い梵字みたいなものが、フワッと浮いたりするのを見ました。

それは何?と聞いても、「ただの数珠。仕掛けはない」と言います。

「君もするよね。知ってるよ。同じだよ」とも言われました。

私もおしゃれな感じの天然石のブレスレットなんかを持っていたのですが、こんなのはもちろんありません。
首に巻いた長い数珠の一つ一つの玉に全部文字が浮かんだ瞬間も見ました。
昔の映画の里見八犬伝の玉みたいでした。

本当に、兄ちゃんは変でした。
この人のせいか家じゅうが匂うんです。
ヒノキや白檀やなんかの木と、酒か汗の匂いが家じゅうにしました。

お父さんの四国の親戚って、たまにこんな匂いが少しするんです。
なんかあるんでしょうかね?
匂いはたまにあることなんですが、今日はおかしな数珠もしていて本当に不思議だなと思いました。

両親の顔を見ても涼しい顔で談笑していました。
みんなどうにかなっちゃったのかな?と思いながら休日なので買い物に出かけました。

夜家に帰ってくると、まだあの匂いがしました。
今日はだいぶ強い・・・。

両親に「◯◯兄ちゃんは帰ったの?」と聞くと、二人ともぴたっとだまって超真剣な顔をしました。
あれ?おかしいな。
再度聞くと、お父さんは意外なことをいいました。

「家に誰かいたみたいだね・・・」

私も真っ青です。
お父さんは、◯◯兄ちゃんに電話をしました。
にいちゃんは、上京してから一度も私の家に来ていないそうです。
しかも匂いは、両親は全く感じないそうです。

あれは誰だったんでしょうね?
何かを言いに来たのかもしれませんが、心当たりはありません。
私はお寺なんかにいくと、住職も全くしらない僧侶とか小坊主とかを、たまに見るんでまたみちゃったかぁという感じでした。
でも、この時は家に来たのでかなり驚きました。
一体なんなんでしょう。

父の家系に僧侶がいたのでしょうか?父に聞いても知らないといわれました。