霊かどうかはわからんが、自分が小学校高学年の頃に体験した、自分的には洒落にならん位怖かった話。

通っていた小学校の向かいに山があったんだが、そこには昔戦時中に使われていた防空壕があると聞いていた。
そこで、ある日友達5、6人で行ってみようということになり、みんなでワクワクしながら向かった。

ちなみに夜ではなく、昼過ぎくらいで晴れていたので怖さなどは微塵もなかった。
あと山と言っても山の手前は当時出来たばかりの家が並んでいる新しい住宅街があり、防空壕がある所の少し手前までは小綺麗な道路だった。

住宅街を抜けて防空壕があるという所まで行くと、2~3mくらいの小高い丘みたいになっててそこを上がらないと行けなかった。
その丘が結構急になってて勢いよく走ってかけあがり、手をつきながらよじ登っていった。

その丘の上に立つとすぐ登ったのと同じように2~3m程下っていて、そこからの景色が少し説明しにくいんだが、変な形というか、下った下は山道になっていてそれが丸く円のようになっていた。

長さにして100mくらい?円の直径は10~20m位?あったと思う。

そしてその円の中は深く抉れていて草やら木なんかが道の高さ位まで生い茂っていた。
その円の奥はもう山だったし、なんだか不気味な感じだった。

そこから左の道10m位先を見ると防空壕らしき洞窟みたいな所があるのがわかった。
すぐ行こうと思ったが珍しい景色と不気味な雰囲気にしばらく丘の上で辺りを見回していた。

すると防空壕とは逆の右の道、20~30m先の道の奥(山の中)で何か動いているのが見えた。

最初は何かわからなくて友達と「なんだあれ」みたいなことを話してたが、よく見てみるとそれは人間だった。

昼とはいえ木々で影になり薄暗い中で、1人で何しているんだろうと思い更によく見ていると、その人はかがんで地面を掘っているようだった。

しかもその格好が、昔の兵隊さんのような格好であの耳まで隠れる帽子を被っていて、その人の横にはあのゴミ捨て等に使われてた黒いビニール袋があった。

あと極めつけは掘っている道具・・・。
2mはあろうかという長い棒の先に鎌がついた感じで、漫画等で見る死神が持っているような物だった。
その人は鎌とは逆の棒の方で掘っていた。
俺たちには気づいていない様子で一心不乱に掘っている感じだった。

「アレ何してるんだ?」

「なんか埋めてるんじゃないか?」

「死体とか?w」

などと冗談まじりに会話をしながら見ていても一向に気づく様子はない。
さすがに近づくのは気が引けたが子供の好奇心は収まるはずもなく
しびれを切らした俺がその場所から大声で聞いてみた

「何してるんですかーーー」

気づかない。
更に大きな声で

「そこで何してるんですかーーー!!!」

すると、その瞬間、ガバッとこちらを見た。

と同時に「ヴおおおおおあsぢfkりおgjりどzjぢgおsjkytf-ーーー!!!」と訳の分からない物凄い叫び声をあげながらこっちに向かって走り出したのだ!!

もうそこからみんなパニック。

「ヴあーーー!!!」と叫びながら丘をダッシュで駆け下りた。

結構急な坂だった為勢いがついて転びそうになりながら坂の少し先まで下りてすぐ後ろを振り返ったら、その男は既に丘の上に立って鎌を振り上げてこっちを見てた。

自分達は丘を下りただけで時間にしてわずか4~5秒足らずだった。
なのに男は20~30mの距離+2~3m程の丘を・・・いくらなんでも速すぎだった。

殺される・・・。

小学生ながらにそう思った。
そこからもう死にものぐるいで表通りまでダッシュ。
どこまで追ってきたかもわからないがとにかく逃げられた。

しかし、ふと友達を見ると一人鈍臭かった奴がいないことに気づいた。
再度パニック。

「絶対殺された!!」

「どうしよう!!」

「戻る?!」

「無理無理!!」

言い合いながら恐る恐る少し来た道を戻っていた。

すると向こうからトボトボと泣きながらそいつは歩いてきた。
が、まあただ別の道に逃げていただけらしく何も無かった。
みな安堵に包まれた。

結局その男の正体はわからぬままだし、その後も何事もなかったが、その時は本当に殺されると思ってめちゃくちゃ怖かった。

果たしてあの男は何をしていたのか。
なぜ掘っていたのか。
何を埋めようとしていたのか。
そもそも生きた人間だったのか。