俺は予備校の寮生だった。
さほどボロではないが廊下を挟んでで勉強部屋と寝室という特殊な構造だったな。
いずれも畳3枚分のスペースしかなく狭かった。

寝室は日が当たらない部屋で常にじめじめ。
窓はあったが開けても近くにトイレがあり、これはこれで空気の入れ替えもままならず辛い部屋だった。

さらに「鳩のフン公害」もあり、窓は完全に閉めていた。
なのでカーテンも閉めっぱなし。
ずっといたら病気になりそうな環境。

寮に入って2ヶ月、梅雨の時期に入った。
そろそろ風呂に入ろうと思って洗面器を取り出した。
そしたら正露丸みたいなのがいくつも落ちているではないか。

なんだろこれ、きたな!!

洗面器には若干水が残っていて正露丸はうっすらにじんでいた。
さほど気にせず風呂に入り、部屋に戻ったらいましたよ、黒い物体。

ゴキブリの登場。
俺はゴキブリが大の苦手。
おろおろしているうちにゴキブリを見失ってしまった。
あの正露丸っぽいのはゴキブリの糞と理解した。

こうなったら徹底的に掃除をしないと、と思い翌日決行。
さて久々にカーテンを開けるか。
カーテンを開けたら窓が数センチ開いていた。
閉めてたはずなのに。

そこに恐ろしい光景を目にすることに。
窓のふちに大量の白と黒が混ざった鳩のフン、そして真っ黒い粒。(ゴキブリの糞)
さらに数え切れないくらいの赤ちゃんゴキブリが大量に・・・。

しばらくパニックになったが、プリントを丸めて竿っぽくしてはじいて外に追い出す作戦を取った。
恐怖に怯えながらなんとか窓の淵をそれなりに掃除することができた。

とてつもない悪臭を放ち、何度も吐き気を催した。
友達が手伝ってくれるわけがなく、何度も涙した。

これはまずい、部屋中徹底的に掃除をしないと死ぬ・・・。

布団をとり掃除機をかけた。
またその布団にも恐ろしい光景を見ることに。

布団をよく見ると赤ちゃんゴキブリがいっぱいくっついていた。
中には死んでるものも。

吸っても吸っても吸いきれないくらいに・・・。

どうやら俺はいつからかゴキブリといっしょに寝てたようだ。
バルサンを炊いて、俺は寝室で寝ずに勉強部屋で寝ることにした。
真っ暗になるのが怖くて電気をつけっぱなしにしてる日々が続いた。

ゴキブリ騒動はこれで終わったけど、夏場になって、劣悪な環境で寝てたせいか皮膚病になった。
その皮膚病はどんどん飛ぶように広がっていき全身にまで達した。

病院に相談したら、不潔にしてない?といわれた。
俺は綺麗好き、でも住んでる環境でそうなってしまったのだと思った。

そして秋がやってきた。
うちの寮生は50人ぐらいいたんだが
下痢が流行、決して食中毒ではなく何かの病気が蔓延した。

俺は被害者じゃなかった。
病人は完全に隔離。

冬になると今度はまた俺の部屋に異常が出てきた。
朝起きると必ず床のじゅうたんにダンゴ虫みたいなのが数匹死んでるのだ。

もちろんどこから入ってきたのかわからないし、またゴキブリ騒動の窓か?と思ったが閉まってる。
ダンゴ虫は結局寮を出るまで続いた。

埼玉県蕨市の某寮は要注意。