小さい頃、爺さんの車で買い物から帰宅した。

家は小さな民宿をやっていたんだが、海沿いの崖の上に建っており駐車場の少し後ろは崖になっていた。
自分はというと爺さんに買ってもらった玩具にご満悦で車の中で遊んでいた。

爺さんはまだ車で出かける用事があったらしく「すぐ戻ってくるから、車で待ってなさい」と言って、エンジンを掛けたまま車から降りた。

自分はご満悦で「分った」と返事をして車で遊んでいた。

少しして気がつくと、何故か自分は家の裏の倉庫で遊んでいた。
ここが全く記憶に無い。
何時移動したのか・・・。
何時車から降りたのか?

そして家の前の駐車場が騒がしい。

「○○(自分の名前)が死んだー!!」

大人達が叫んでいる。

「自分のせいだ・・・」

爺さんが叫んで泣いている・・・。

訳が分らず「どうしたの?」と出て行くと、大人達が目を丸くして驚いていた。
何でも、車のサイドを引き忘れていたらしく車が崖から転落したらしい。
崖の下を覗き込むと、爺さんの車がひしゃげて煙を吹いていた。

凄い音がして大人達が気がついたらしく、車に自分が乗っていたので死んだと思ったらしい。

只不思議なのは、倉庫には食材が置いてあるので店の中を通らないと行けない。
カウンターの裏なので、カウンターをくぐらなければならず、そこでは爺さんと親父が話していた。
だが、誰も自分が倉庫に行くのを見ていない。

今でも崖の下の車だけは鮮明に覚えている。