ゴキブリを好きな人間はそんなにいないだろう。
大嫌いな人間にしてみれば殺虫剤は必需品だ。
しかし、その殺虫剤、スプレー式で薬剤を噴霧する形は数十年前からほとんど進化していないと言える。

なぜ進化しないのだろう?

実は、過去には“氷殺”と呼ばれる、瞬間冷却でゴキブリを凍らせる無毒タイプのものや、殺虫成分のある泡で固めるタイプの製品が発売されている。
どちらのタイプも毒性のある薬剤が周りに広がりにくく、尚且つ従来のものより殺虫効果の高い画期的な製品であった。
それらは大変な人気となり大きく売り上げを伸ばした。

ところが、それら新商品は発売されると必ず大量のクレームが入る。
しかも、あり得ない使い方をしたとんでもないものが多い。

一例をあげる。

「“氷殺”タイプのものを火の出た天ぷらなべに吹きかけたら炎が拡大した」

「コールドスプレー代わりに使ったらやけどした」

「泡で固めるタイプのものにライターで火を付けると燃え上がる」

「こどもが泡のタイプをマシュマロと間違えて食べるかもしれない(こどものいない家庭よりクレーム)」

などなど・・・本来の使用目的から外れたクレームで発売中止に追い込まれてしまう。

もちろん競合他社からの嫌がらせもあるかもしれないが、クレームの入りがかなり組織的らしく、一部メーカーではこれ以上ゴキブリの殺害を防ぐため動物愛護の団体が動いているという噂が出ているらしい。

真相は不明だが、ゴキブリを倒す者と守る者、この戦いに終わりはないのかもしれない。