実際に体験した話。
幽霊というよりは生前の人間についてです。

夜、母と車で買い物に行った帰り道。
人気のない場所にある踏切で一時停止してたら、向かい側に女が一人立ってる。
服装は制服で恐らく女子高生だろうと思ったが、こんな時間に何故一人なのかとふと疑問が湧いた。

母も気付いたらしく様子が変だと二人で話していたら、タイミング良く警報機が鳴って遮断機が降りてきた。

その間も女は一人俯き加減で踏切の向こう側に立っていて全く微動だにしない。
しばらくして電車が通り過ぎ、私たちの車も踏切を渡ろうとした。
その時、女がふと顔を上げた。

私は女が見えなくなるまで視線を逸らさなかったが、あの睨み付けるような目つきは今でも忘れられない・・・。

翌日、私は母と新聞の記事を読んでいて思わず閉口した。
昨夜の踏切で女が一人亡くなっていた。
その時間帯は私たちが女と出会った数分後のこと。
自殺する時は誰にも見られたくなかったのだろうか・・・と、前の夜を思い出しながらふとそう思った。