ある20代の男性が夜寝ている時によく観た夢。

夢の中で僕は自分の部屋に閉じ込められています。
現実とほぼ同じ部屋ですが窓とドアがそこには存在しないんです。

あと一つ現実と違った所があって、壁の隅に小さな赤い文字で・・・。

「羽衣龜蟲の湧き出る静寂の谷から紺碧の海色の猪の群れが走り抜ける蜈蚣の紅い甲羅と乳色を混ぜたような見事な阿弥陀羽の黒蜻蛉達が静寂の谷から蒼き栗の実を携え奔・・・」

・・・詩なのか小説なのか分からない意味不明な怪文章が羅列されているのです。

毎日のように観たこの夢の怪文章の中に極たまにですが一つだけ青く光る文字がある場合があります。
その青い文字を見つけた時は文字を壁から抜き取って、手に持っている黄色い小箱に入れます。
部屋ではそれ以外のことは何も起こりません。

単なる夢だと思っていたのですが、ある日バイト帰りの帰宅途中に道端で妙な物を見つけた。
あの夢に出てきた黄色い小箱だった。

確かに似ていたのだ。
少々不気味に思ったが不思議なこともあるものだ・・・と思い小箱を拾い上げて怖いもの観たさもあって中身を確認した・・・すると男性は物凄い悲鳴を上げた。

その箱の中には判子とか書類製作に使う木製活字判がいくつも入っていた。
男性は、まさか本当に文字が入っているなんて思いもよらなかったからつい悲鳴を上げてしまったのだ。

そしての中に入っていた活字判が「1」「に」「る」「と」「居」「死」「家」「日」

並び替えると「1日に家に居ると死」とも読める。

男性は気味が悪くなって次の月の1日はバイト先に泊まって家には帰らなかった。
その次の月も、そのまた次の月も・・・。

しかし、とうとうその次の月の1日に事件は起こった。

2日の夜に家に帰ると家の中が荒らされていた。
箪笥を真っ先に調べたが、どうやら強盗の様で金目の物がゴッソリと持っていかれていた。

男性は「まあ、命が助かっただけでも幸いか」と思ってリビングに入るとそこには・・・包丁が10本近くテーブルの上に突き刺さっていたらしい。

・・・実はこれ、私の兄の話でして、それまで普通の人だった兄は今、精神科のお世話になってます。
こんな支離滅裂な話を時々私にしてきます。

同じ血筋なので、私にもいつ夢で「赤い文字」が出始めるのかが怖いです。
寝るのが怖いです・・・。