もう20年以上前の話で、全く壮大な話でもないんだけど、なんとなく覚えている出来事。
当時はまだ沖縄が今ほど観光地化してなくて舗装されてない道路が結構あった。

おばあちゃんの家は全木造のとにかく古い家で、入ると広間がすぐにあって、その広間には仏壇がある。
更にその奥には何やら色々詰め込まれた物置への入り口があった。

おばあちゃんの家では娯楽が皆無。
テレビはおじいちゃんが野球を観るので、いつも占領されてる。

とにかく暇だった。
そんな時はおばあちゃんの家や近所を姉と探索するのが恒例だったのだけど、ある日姉とその物置に入った時に、足下に本だったか、それとも何かの箱だったか・・・よく覚えてないんだけど、そういったものが一つぽつんと床に落ちていた。

そしてなんとなくそれに近づいてみると、足下に落ちていたそれが突然宙にふわっと飛び上がり、またボトっと落ちた。

「怖い」ではなく、俺はその時ポカーンとしてたと思う。

ぶっちゃけそれだけで、その時は他に何かが起こったわけでも無いんだが、その日の夜に広間の物置き前で寝ていると、倉庫辺りの方から妙な声が聞こえて来た。

女性だったと思う。
正直何を言っていたのか覚えてはいないんだが、その内容に当時俺は酷く怯えていたように思う。
恨み言の類いだった気もする。

おばあちゃんの家ももう取り壊されている。
あの時の出来事は夢だったのか、それとも何かがあの物置に棲んでいたのか、今となっては分からないが、生前、おばあちゃんが「倉庫には一人でいくな」という言葉だけは今も忘れることができず、似たような空間に一人でいると、怖くて仕方がない。