夕方6時前、出先から帰宅するのに乗車した地下鉄(都内)での話です。

とある駅で、扉の閉まる間際に女性がふたり駆け込んできました。
そのとき扉近くの席に座り、ぼーっと正面の扉のあたりを眺めていたオレは駆け込んできた女性ふたりを観察してしまう格好になったのですが、似たような服装(綿パンツに白いシャツ)で仕事帰りの風情、そしてえらく近い距離、ほとんど密着するかのように駆け込んできたところをみると、同じ会社に勤める親しい友人のように思えました。

なので車内に駆け込んで扉が閉まったとき、「よかったねー」「間に合った!」とか何とか会話を交わすのだろうな、と予感しました。

ところが、ふたりの女性は別々の座席に座ったのです。
ひとりはオレの左隣、もうひとりはオレの左斜め前の席。
普段なら「ああ、オレの勘違いか」で済む一件ですけど、そのときオレは「ええええ!!!なんで君たち知り合いじゃないの???」と、なぜか心の中で突っ込んでしまったんです。

電車が発車したあとも、この二人が気になって仕方ありません。

「今は互いの存在に気づいてないけれど、いつ気づくんだろうな、気づいたときはふたり並んで座れるように席を立ってあげよう」とか、色々と考えていました。

しばらくすると、二駅目でオレの左に座った女性が「あ!!!」っと声をあげました。

オレは「ほらね、やっぱ知り合いじゃんw」と口元に笑みを浮かべてしまっていたかもしれません。
左斜め前に座る女性が席を立ち、オレの隣の女性の前に駆け寄ってきました。

女性A「◯子だよね?ね?」

女性B「?・・・え?も、もしかして×美?」

女性A「そう!そう!!!」

女性B「!!ちょっと何年ぶり??高校卒業以来だよね!!!」

女性A「どこから乗ってきたの?」

女性B「△駅!!」

女性A「え!私もよ!!」

女性の年齢を正しく言い当てることは難しいのですが、ふたりの年齢は少なくとも30代であることは確かそうでした。

どちらかというと勘の鈍いほうのオレ、あまりの当たりっぷりに心臓をドキドキさせつつ立ち上がって席を譲り、次の駅で降りました。

不思議というか、人間の感覚ってやっぱり凄いですよね。