30年ぐらい前の奇怪な事件を思い出した。

TVで報道されたけど誰か覚えてないかな?
ある平和な団地の平凡なリーマン家庭の普通の朝、子供はいつも通り学校に行き、やや遅れて夫が仕事に出た。
が、駅に行く途中で夫は忘れものに気付き、家に取りに帰った。
この間、わずか15、6分。

家に入った夫が見たのは、下腹を真一文字に切り裂かれて息絶えている下着姿の妻と、すぐそばのベビーベッドですやすや眠る赤ん坊だった・・・・・・。

自殺か?他殺か?と騒がれ、夫はじめ周囲の人々は絶対に自殺じゃない、原因がまったくないと頑張ったけど、人が出入りした形跡はなく、謎だ謎だと言いながら報道はフェードアウトした。

だけど、その妻の死に方って切腹そのものなんだよね。
何年か経って、自分はたまたま戦後発刊された「奇譚クラブ」というSM雑誌を知り、それを通して切腹フェチともいうべき人々が存在していることを知った。

彼らはもちろん本当に切腹するわけじゃなく、切腹の作法や方法を詳細に調べ、それらしいコスチュームと小道具を整えて、軽~く腹部を切る程度なのだそう。
それによってエロい快感を愉しむらしいのだが、中には快感でワケワカメになって本当に切腹してしまう人もいるということだった。

もしかしたらあの奥さんもそれだったのかもしれないと、自分はひそかに思っている。
下着姿というのは長襦袢=白装束だったのでは・・・・・・。

誰かに襲われたなら叫ぶだろうし、刺されれば悲鳴も上げるだろうし、両隣上下が何も物音を聞かず、赤ん坊も目を覚まさずに寝ているのはおかしいもんね。