幼馴染の体験談。

彼女の母方の実家が広島にあります。
ガキんちょだった当時、夏休みになると墓参りを兼ねて帰省してたんですが、夜、花火をしていたときに従兄弟たちが「肝試しやろう」と言い出し、近所の雑木林へノコノコ出かけていったらしいんです。

それから神社を抜けて森のようになってるところに着いたのですが、静まり返った奥のほうから物を打つ音が聞こえてきたそうです。

恐怖よりも好奇のほうが強かった彼女たちは音の鳴る方へ進みました。
すると林の中からほの暗い灯りが見えたそうです。

「・・・誰かいるのかな?」

少し前進して確認したところ・・・『うしの刻参り』の真っ最中な女性だったそうです。

※(うしのこくまいり、うしのときまいり)とは、丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に神社の御神木に憎い相手に見立てた藁人形を釘で打ち込むという、日本に古来伝わる呪術の一種。

幼馴染が「なにやってるのー?」と能天気に叫んだため、藁人形を打ち付けていた女性がクルっと振り返り猛烈な勢いで追いかけてきたそうです。

必死で逃げて、子供が隠れられるくらいの木のカゲに隠れ、様子を見ていると、辺りを見回して「人に見られてしまった・・・」といった様子の白装束の女性が「くやしぃぃぃぃぃぃ!」と叫んで林の中へ帰っていったそうです。

翌日、幼馴染が従兄弟たちと近くのスーパー屋上にあるゲームコーナーで遊んでたら突然、誰かが腕をつかんだそうです。

「だれ?」と思って見ると、白装束だった女性。

「見つけたで・・・」と、言ってニヤっと笑った顔は異常に怖かったと言ってました。

幼馴染のお姉さんが異変を察知して女性にとび蹴りを食らわせ、彼女がひるんだスキに警備員室みたいなところへ逃げたそうです。

女性は警備員さんに尋問みたいなのをされてどこかへ連れていかれたと言ってました。