初めは彩子が会社帰りにバス停から家まで歩いているときに起った。
小さな公園を横切り一人暮らしをしているマンションが見えた頃だった。
急に電柱の影から話しかけられた。
女性:「あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。」
突然の質問に心臓が飛び出しそうになりバッと身構えながら声の方向を向くと、全身黒や茶色の服装の地味な女性が若干前かがみの状態でたたずんでいた。
それは見たことのない女性で、年齢はおよそ40代半ば程。
そのまま女性は続けた。
女性:「あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。このくらいの。」
指で形を書きながら続ける。
小さな公園を横切り一人暮らしをしているマンションが見えた頃だった。
急に電柱の影から話しかけられた。
女性:「あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。」
突然の質問に心臓が飛び出しそうになりバッと身構えながら声の方向を向くと、全身黒や茶色の服装の地味な女性が若干前かがみの状態でたたずんでいた。
それは見たことのない女性で、年齢はおよそ40代半ば程。
そのまま女性は続けた。
女性:「あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。このくらいの。」
指で形を書きながら続ける。
女性:「その姿鏡捨てたほうがいいわよ。悪いことが起きるの」
女性:「思い出なの?思い出なら仕方ないけど。でもしょうがないわよ」
彩子はその女性が頭のおかしい人と悟り、毅然とした口調で切り出した。
彩子:「はぁ?そんなものありません。失礼します。」
彩子は早足でマンションに向かった。
ところが、彩子の言葉がまるで聞こえていないのかのように彩子を追いかけながら女性は続けた。
女性:「私は知っているのよ。お隣だもの。お・と・な・り。」
女性:「ねぇ。捨てなさいってば。思い出なの?形見とかなら可愛そうだけど・・・。しょうがないわよ。明日捨てたほうがいいわ」
彩子は無視し続けるもエレベーターを待っている間もずっと続けているので「いいかげんにして下さい!本当にそんな姿鏡持っていません!」と、やや声を荒げてお隣だという女性に言うも「嘘よ。嘘。だって知っているもの。あなた教育が悪いわね。隠しても無駄なの。あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。このくらいの」と、また指で形をつくりながら言う。
もちろんエレベーターの中にも付いて来る。
彩子は呪文のような台詞にうんざりし、無視することにした。
ずぅっと同じような言葉を続けている中、エレベーターが彩子の部屋がある7階に到着した。
扉が開くと彩子の部屋である一番奥の708号室まで駆けだし、すぐさま鍵を開けた。
追ってはこなかったが、大声で「姿鏡を捨てなさい!思い出なの!?」と、エレベーターの前からこちらを向いているのが部屋に入る前に見えた。
翌朝、昨夜の出来事が頭から離れずほとんど眠ることができなかった彩子は寝不足のまま会社へ出勤すると、同僚などに「二日酔いかぁ?」などとからかわれた。
なんとか仕事を終え帰宅すると、やはりお隣の女性はマンションの前で待っていた。
そこからは昨日の繰り返し・・・。
「あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。このくらいの」から始まり「思い出なの?思い出なの?」と・・・。
彩子は終始無視を決め込んだが、そのまま彩子の部屋の前まで付いてくる。
鍵を開けると彩子は振り返り。
彩子:「いいかげんにしてください。これ以上続けるなら警察呼びますよ。」
しかし、聞こえていないかのように女性は言った。
女性:「ほら。見せてみなさいよ。私が一緒に捨ててあげるから。思い出でもしょうがないわよ」
寝不足でイライラしていた彩子はとうとうキレた。
彩子:「なんなんですか!!あなたに関係ないでしょ!」
すると、淡々とした口調だが、今までよりも大きな声で「鏡っていうのはね、光だけじゃなく悪い気も跳ね返すのよ。悪い気があなたの部屋を通ってるんだけど、姿鏡が反射して私の部屋にくるの」
彩子:「はぁ!?頭おかしいんですか!」
女性:「だからマァ君がね、事故に遭って今入院してるの。このままだとマァ君が死んじゃうでしょ?だからあなたの部屋の姿鏡捨ててちょうだい?思い出なの」
もう駄目だと思った彩子は勢い良くドアを開け、滑り込むように部屋に入って鍵をかけた。
外では女性の大きな声が続いている。
女性:「思い出なの?それでもしょうがないのよ?」
部屋の電気を付け、彩子はすぐさま管理人に連絡をした。
一方的に変な隣人に困っていることを半分パニックになりながら伝えたが、管理人はあまり真剣ではない様子。
すると、ふいにチャイムが「ピンポーン」「ピンポーン」と鳴る。
彩子:「ほら!まだ居る!早くすぐ来てなんとかしてください!頭がおかしくなりそう!」
管理人は「う~ん」と唸りながら答えて、「今から行きます」と応えた。
しばらくすると、「《ピンポーン》すいませーん!すいませーん!」と、管理人が慌ただしく、「さっき口論してた人って、中年のおばさん!?今、ここから飛び降りちゃいましたよ!」
彩子は失神してしまった。
女性:「思い出なの?思い出なら仕方ないけど。でもしょうがないわよ」
彩子はその女性が頭のおかしい人と悟り、毅然とした口調で切り出した。
彩子:「はぁ?そんなものありません。失礼します。」
彩子は早足でマンションに向かった。
ところが、彩子の言葉がまるで聞こえていないのかのように彩子を追いかけながら女性は続けた。
女性:「私は知っているのよ。お隣だもの。お・と・な・り。」
女性:「ねぇ。捨てなさいってば。思い出なの?形見とかなら可愛そうだけど・・・。しょうがないわよ。明日捨てたほうがいいわ」
彩子は無視し続けるもエレベーターを待っている間もずっと続けているので「いいかげんにして下さい!本当にそんな姿鏡持っていません!」と、やや声を荒げてお隣だという女性に言うも「嘘よ。嘘。だって知っているもの。あなた教育が悪いわね。隠しても無駄なの。あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。このくらいの」と、また指で形をつくりながら言う。
もちろんエレベーターの中にも付いて来る。
彩子は呪文のような台詞にうんざりし、無視することにした。
ずぅっと同じような言葉を続けている中、エレベーターが彩子の部屋がある7階に到着した。
扉が開くと彩子の部屋である一番奥の708号室まで駆けだし、すぐさま鍵を開けた。
追ってはこなかったが、大声で「姿鏡を捨てなさい!思い出なの!?」と、エレベーターの前からこちらを向いているのが部屋に入る前に見えた。
翌朝、昨夜の出来事が頭から離れずほとんど眠ることができなかった彩子は寝不足のまま会社へ出勤すると、同僚などに「二日酔いかぁ?」などとからかわれた。
なんとか仕事を終え帰宅すると、やはりお隣の女性はマンションの前で待っていた。
そこからは昨日の繰り返し・・・。
「あなたの部屋に姿鏡あるでしょ。このくらいの」から始まり「思い出なの?思い出なの?」と・・・。
彩子は終始無視を決め込んだが、そのまま彩子の部屋の前まで付いてくる。
鍵を開けると彩子は振り返り。
彩子:「いいかげんにしてください。これ以上続けるなら警察呼びますよ。」
しかし、聞こえていないかのように女性は言った。
女性:「ほら。見せてみなさいよ。私が一緒に捨ててあげるから。思い出でもしょうがないわよ」
寝不足でイライラしていた彩子はとうとうキレた。
彩子:「なんなんですか!!あなたに関係ないでしょ!」
すると、淡々とした口調だが、今までよりも大きな声で「鏡っていうのはね、光だけじゃなく悪い気も跳ね返すのよ。悪い気があなたの部屋を通ってるんだけど、姿鏡が反射して私の部屋にくるの」
彩子:「はぁ!?頭おかしいんですか!」
女性:「だからマァ君がね、事故に遭って今入院してるの。このままだとマァ君が死んじゃうでしょ?だからあなたの部屋の姿鏡捨ててちょうだい?思い出なの」
もう駄目だと思った彩子は勢い良くドアを開け、滑り込むように部屋に入って鍵をかけた。
外では女性の大きな声が続いている。
女性:「思い出なの?それでもしょうがないのよ?」
部屋の電気を付け、彩子はすぐさま管理人に連絡をした。
一方的に変な隣人に困っていることを半分パニックになりながら伝えたが、管理人はあまり真剣ではない様子。
すると、ふいにチャイムが「ピンポーン」「ピンポーン」と鳴る。
彩子:「ほら!まだ居る!早くすぐ来てなんとかしてください!頭がおかしくなりそう!」
管理人は「う~ん」と唸りながら答えて、「今から行きます」と応えた。
しばらくすると、「《ピンポーン》すいませーん!すいませーん!」と、管理人が慌ただしく、「さっき口論してた人って、中年のおばさん!?今、ここから飛び降りちゃいましたよ!」
彩子は失神してしまった。