まだ実家で暮らしてる頃の話。
団地の四階の窓を開け、心地よい風を受けながら俺は部屋で昼寝をしていた。
そうして爆睡していると、誰かが足を叩いた。

「ああ、母が何か用事で起こしてるんだな」と思ったが、なぜか執拗に足を叩いてくる。
眠かったので、うるさいなぁと思いながら目を少し開けた。
そこで寝起きの頭でもおかしなことに気付いた。

体を横向きにして寝ていたんだが目の前には部屋の扉が見える。
ということは後ろは窓側なのだ。
一般的に考えて、部屋に入ってこっちを向いて寝ている人の後ろに回って起こす人はどれくらいいるだろう。

更に気付く不可解な点。
いま足を叩いてるモノは自分に対して何も声をかけていないのだ。
ただひたすらに叩いているだけ・・・。

これはおかしいと断定する。
この間、目を開けてからものの5秒も経ってなかったと思う。

そのことに気付いた瞬間、金縛りに襲われた。
叩いていたそれは俺の足を掴む。(手で掴まれている感触だった)
たぶん窓側へ引っ張っていこうとしてたんだと思う。

しかし俺は、そういう現象に慣れているわけではないが、得たいの知れないモノに気持ちで負けるのが嫌いなタイプなので、その時も半ば逆ギレ状態で、「金縛りがどうしたゴルァ!」って感じで全力で抵抗した。

長く思えたが実際は短かったのかも知れない。
抵抗を続けると「割れる」と言う表現は間違っているかもしれないが、金縛りが割れた。
それと一緒に引っ張っていた手も離れた。

「逃がさねえぶっ飛ばす!」と瞬間的に思って振り返ったが、そこには誰もいなかった。

残念ながら、よくある話のように「指の跡が!」とかはなかったんだけど、掴まれた場所の感覚は残っていたし少し赤くなっていた。

キッチンへ行くと母は煙草を吸っていた。
確信はあったんだが一応聞いてみた。

俺「いま起こしに来た?」

母「へ?」

俺「部屋にも来てないよね?」

母「どうしたのwww」

俺「いや、なんでもない」

その後すぐ、また寝たんだが起きたら朝の7時だったw
約14時間も寝ていたとは・・・。
金縛りって自力で解くとかなり体力使うんだよな。

今思うとあの時気付かず起きて振り向いていたら・・・。
また、抵抗してなかったらどうなったんだろうと思う。