台湾で、31歳の女性が恋愛を苦に自殺を試み、インターネット交流サイト「フェイスブック」でその過程を約1時間にわたって「実況中継」したところ、様子を“見て”いた9人のうち誰も警察や救急に通報せず、女性が死に至る事件が起きた。

台北市近郊の新北市に住むサービス業の女性(31)が17日深夜から18日未明にかけ、自室で木炭を燃やして自殺した。
18日は女性の誕生日だった。

女性は3年前に知り合い、昨年5月から交際を始めた宅配便の運転手男性(36)と同棲し、結婚するつもりでいた。
だが、この男性が度々家を不在にするため、昔の恋人との関係を続けていると疑い、さらに、自分の給与から男性の実家へ仕送りすることにも悩みを抱えていた。

“実況中継”の様子はこうだ。

誕生日前日に男性が帰ってこないと分かった女性は17日午後11時46分、フェイスブックのサイトに、木炭の入ったバーベキュー用コンロの写真を掲載し、こう書き込んだ。

「今日は私の誕生日。カレは帰ってこない。まただよ。バイバイ、私を愛した人と私が愛した人。こんな世界はもうたくさん」

その後、サイト上の「友達」から「次(の恋)はもっと良いはず」などと書き込みがあり、やり取りを続けるが18日零時22分、火のついた木炭の写真を掲載。
異変に気づいた一部の「友達」が、直接会おうとするなど説得の書き込みを始めた。

だが、女性は同34分、煙が充満した写真を掲載。

「もう手遅れ。もう死ぬのに、まだFB(フェイスブック)が必要なのね。FB中毒だわ。ハハ」

そして同53分に「煙たくて目に涙。もう返事しないで」と書き込んだのが最期の言葉になった。

女性のフェイスブックには、164人の「友達」が登録。
67分間の中継中、9人が書き込みをし、7人が自殺を止めようとしたが、通報した人はいなかった。
さらに、12人が『いいね!』ボタンを押していた。