ドイツのある町にいつも喧嘩ばかりしている肉屋の夫婦がいた。

そしてある時、堪忍袋の緒が切れた夫は妻を殺してしまった。
夫は我に返ったあと、後悔するとともに妻の遺体をどうやって隠そうかと考えた。
そして、事件の証拠となる死体を完璧に処分する方法を考えついた。

夫は妻の死体をひき肉にして、それに豚肉や調味料などを混ぜ合わせ巨大なソーセージにして、あろうことか自分の店で売ってしまったのだ。

ところがこの「人肉ソーセージ」がお客に大うけし、即座に完売してしまった。
夫は客の要望に応えるために、近所の子犬や猫でソーセージを作ったが妻のときのような味が出ない。
肉屋の夫が試行錯誤している間にも「あのソーセージをだせ!」との客の要望は強まるばかり。
思いつめた夫はとうとう近所の子供をソーセージにしようとして逮捕されてしまった。

*****解説*****
この人肉ソーセージの都市伝説は“古典”のジャンルでもよいほど定番の都市伝説ですが、実話を基にした別バージョンも存在します。

ドイツのシリアルキラー「フリッツ・ハールマン」の事件です。

第一次大戦に敗れたドイツは、不況のどん底にあった。
大量に生み出された失業者の中には、浮浪者となり街に溢れかえっていた。

フリッツ・ハールマンは工場で働いたり、魚屋を営んでいたが、その裏で警察の情報屋もやっていた。
彼は極度の癇癪持ちで、同性愛者でもあった。
彼はハノーヴァー駅の常連で、警察から貰ったバッジを悪用し、警官になりすまして駅の構内で野宿する若い労働者を物色した。
そして犠牲者をノイエシュトラッセの盗人宿に誘い込み、性的嗜好を満足させた後に殺した。
一説では喉を咬み切ったとされる。
犠牲者のは12歳から18歳の少年だった。

問題は死体の処理だ。
彼は死体を解体した。
彼はその解体した死体から骨を取り、肉として売り払ったのだ。
彼は骨を抜き厚切りにした少年の肉を、バケツに入れては市場で馬肉と偽って売り歩いた。
また少年たちの衣服なども売り払ったという。

解体は屋根裏部屋で行われ、壁中に血が厚くこびりつき凄まじい有様だった。
解体は昼夜を問わず行われたため、近隣の住民は騒音で眠れなかったという。

最後に残った、一番厄介な部位が骨だが、初めはスープのダシにと近所に配ったが、不審がられたために、叩き潰して窓から裏を流れるライン川に投げ捨てた。
怖ろしいことに、彼は犠牲者の肉の一部をソーセージにして自らも食べたという。

ハールマンは愛人と共に27~40人ほどの少年を手にかけたとされるが、最大の物的証拠である死体が存在しないため、未確認のものを含めれば犠牲者の数は3桁にのぼるともいわれており、最終的に彼が何人を手にかけたかは分かっていない。

結局川に捨てていた大量の骨が原因で犯行が露見し、死刑となった。
彼は終始一貫して死刑を望み、墓石には『大量虐殺者ハールマンここに眠る』と書いてくれと、ギロチンにかかる直前に言い残した。