我が家は関西の地方都市に両親と姉と4人家族ですんでいました。(今も両親は住んでいます)
そのとき住んでいた家の台所が用水路というよりドブ川に面しているのですが、家と用水路の間には人が一人通るのがやっとの空間があって、近所の子供達が抜け道で通る以外は家族もめったに使わなかったです。

僕が小学校5年生のとき父親が出張で帰ってこなくて、その夜は家族3人で過ごすことになっていました。
このこと自体は特に珍しいことでは無く、いつも通り母親が夕飯の準備をしていたところ「キャー」という母親の叫び声が台所からしてきました。

なんだろう?と思って台所に駆けつけると、台所の窓から前の路地を見かけない男性が通り過ぎるのを見たとの事です。
そのころ近くで空き巣が出たりと物騒でしたので、母親がそのことを父親に電話で相談すると父親が僕に電話を代われとの事でした。

僕が電話に出ると、「お前はもう大人(11歳なんだけど)で男なんだから、今日は1階に一人で寝なさい」との事でした。(いつも家族全員2階で寝ています)
僕は結構びびりなんですが、ちょうど第二次成長期で体はますます大きくなり、力もどんどんついていくのが日に日に感じられる時代でしたので、まさか人の気配があれば泥棒も入ってこないだろうと思い、一人台所の横の居間に布団を敷いて、とりあえず野球用の金属バットを枕もとに置き電気をつけたまま布団に入りました。

そして夜。
気が付けば寝てしまっていたのですが、次に目がさめた瞬間、台所で人の気配がします。

「しまった。泥棒だ。しかし電気がついてるのに何で入ってくるねん」と思いながらも、台所に目を向けると、中年の帽子をかぶった男性がこちらを見ています。

しかし、その次の瞬間ですが、男の体がすっと動いて、男の顔が私の目の前15cmくらいにところにあるじゃないですか。
しかもそのときは顔があることはわかるのですが、体が無かったように思います。

「泥棒ちゃうかって、お化けやったんかー」と心の中で叫びましたが、脳みそががキューと締め付けられる感じで何もできません。

またその次の瞬間男はにやりと笑って、後ろを向いて背中向けに私の体の中に入ってくるじゃないですか?
ちょっと説明が難しいのですが、漫画とかで幽体離脱っていうのを見たことあるのですが、それが逆に入ってきた感じです。
その瞬間私は気を失って、気が付けば次の朝でした。

目を覚ますと父親と母親が電話で話していて、母親が「何もなったようだけど。気をつける」みたいな事を言っていました。

私は数日は夢か本当かまったくわからず、家族にも話せず混乱してしまいました。
夢にしてはあまりにも現実的過ぎて、明らかに現実に起きたことだという確信があったのですが、自分で理解不能なものは忘れる、という性質があるので、しばらくたつと日常生活に戻っていきました。

後日談になるのかわからないのですが・・その後定期的(年に1~2回)その男と思われる人が夢にでてきます。
いつも同じシチュエーションで、真っ暗なところにその男の人が立っているのですが、ただそれだけで話すことも無く、顔を確認することもなく、しばらくその景色を見るだけです。

この夢も二十歳を過ぎ、鋭利な感性も失われた大人になるにしたがって見ることもなくなりました。
他の話に比べたら可愛いものですが、当時の事を思い出すとまだ脳みそがキューという感じがします。
長文すみません。