この体験自体、当時から「ただの夢だったんじゃないか?」って思うレベルだし、仮に本当の体験だったとしても、住んでいた家のものだと思うから、「明日は我が身かも」って恐怖もない。
それでもいいよって人か、「最近金縛りによく遭う、それが楽しくて仕方なくなってきた」って人だけ読んでちょ。

今から三年前、大学生活四年間を京都のボロアパート(9畳で家賃1万8千円!)で過ごしたんだけど、その家でたぶん三ケタは超えるくらい金縛りに遭ってた。
よく金縛りに遭うって人ならわかってくれると思うんだけど、金縛りってほぼ間違いなく前兆があるんだよね。
なんだか脳みそが痙攣しているようなビリビリした感じがして、「あーこれは金縛りくるなー」って思ってると、数分後、物凄い恐怖感が来て体が動かなくなる。

最初のうちは物凄い怖くて「金縛りってのは脳みそだけが起きてて体が眠っているだけだ」みたいなことを頭の中で繰り返して金縛りが解けるのを待つか、前兆が来た瞬間に飛び起きてストレッチをすると金縛りに遭わずに済んでた。

でも金縛りの回数が二ケタを超えたあたりからだんだん怖くなくなってきた。
相変わらず体は「ヤバいぞヤバいぞ!」みたいな本能的な危険信号を送ってくるんだけど、頭が、「落ち着けwww単に俺だけ働いてるからお前が動けないだけだおwww」と思えるくらい冷静でいられるようになった感じ。

んであるとき一つの法則を見つけたんだよね。
金縛りに遭うときってほぼ100%、頭を押入れの方に向けて、押入れの襖を開けながから寝てる時だった。
その法則を見つけてからは、「今日は金縛りに遭おうかなー」って思ったときだけ金縛りに遭うことができた。
なんか金縛りの中で無理やり体を動かそうとすると、電気風呂で電気の放出口に腕を近づけて、筋肉がピンと張ったときに無理やり曲げようとする感じで、心地よい疲労感があってそれが気に入ってたんだよね。

そんなこんなで100回以上は金縛りに遭ってた頃、単に自分がよく金縛り状態に陥りやすい体質で、押入れの法則も自分へのスイッチみたいなものだと思ってた。
その日も金縛りに遭おうと思って、枕を押入れの方に向けて襖を少し開けて床に就いたんだけど、いつものように横になってから15分くらいで金縛りの前兆が来て、「おぉ来た来た」と思ってたら、普段なら数分ある前兆が、すぐに金縛り状態へと移行した。

「今日は早いな、疲れてんのかな?」とか思ってたら、押入れの襖がジャッと開かれて、中から即身仏みたいなカピカピの坊さんが6、7人出てきた。
袈裟着てた。
いつものように目はしっかり閉じてたのに、そんなの関係なしに視覚的に認識できた。

んでその坊さんたちは俺を取り囲むと、布団を掴んで万歳するように布団ごと俺を持ち上げて窓の前まで連れて行って思い切り窓から投げ捨てた。
その間5秒もなかったと思う。
すげースピーディーだった。

次気づいたら俺は部屋の外に居た・・・。
なんてことはなく、普通に布団の上だったんだけど、その時窓際に持って行かれるまでのまるでジェットコース―ターに乗ってるような感覚とかが夢にしてはあまりにもリアル過ぎて、物凄く怖くなってそれ以来押入れに頭を向けて寝ることはしなくなった。
そのせいかは知らんが、それ以来ほとんどその部屋で金縛りに遭うことは無くなった。

正直このことに関しては、「ただの夢だろw」って言われたら強く反論はできないんだが、俺が100回以上金縛りに遭っていたのは絶対に夢ではないと断言できるし、多いときには週3回も4回も起こっていた金縛りが、その部屋から引っ越したらピタリと止まったのも紛れもない事実。

自分はよく金縛りに遭う体質なんだと思っていたのに、よく考えたら、その部屋に行くまでは一度も体験したことなかったんだよな。
たぶん普通の人が人生で体験する金縛りの10倍は金縛りを体験したと思うが、その全てが大学4年間のあの部屋だけなんだよな。
これっていったいなんなんだろうな。

今、ほぼ毎日金縛りに遭ってて、スゲー楽しーwwって思ってるやつがいたら、そのうち「俺たちで遊んでんじゃねえ!」って実力行使で怒られるかもしれんから気をつけてくれよw