私の曾祖父は山菜取りに入った山で大きな猿のような生き物に自分の命日を予言されたらしい。

その猿は「お前の命は○○年後の何月何日までなんだよ」とやけに親しげに言った後、ポカンとした曾祖父を尻目に大笑いしながら山奥に消えそうだ。
しかし、猿も予想外だったろうと思うが、この曾祖父若い頃からもの凄い忘れっぽい人だった。

一週間もすると言われた日付が何年後の何月何日だったか、コロッと忘れてしまったらしい。
○○年後が結構長生きな年数だったし、大往生っぽいしまあ良いか、と気にしなかったそうな。

以上が存命中の曾祖父に聞いた話。
で、その曾祖父が10年程前に亡くなったんだ。
ひ孫の私が13歳の時。

かくしゃくとした曾祖父だったが、さすがに晩年はボケちゃってよく近所を徘徊していた。
でも寝たきりになることも無く、日常生活はそこそこ送れる程度のまま風呂に呼びにいったら亡くなってたという、見事なピンピンコロリ。

大往生だった事もあり、葬儀で集まった親族一同も「猿の予言もあながち間違ってなかったな」と、和やかな雰囲気だった。

しかし後日、遺品整理していた時に曾祖父の若い頃の日記を見つけた。
大叔父達とペラペラめくって笑っていたが、件の猿の予言の項を見つけてしまった・・・。

ちなみに日記は、なぜか押し入れにあったアルマイト弁当箱の中に入っていた。

以下、大叔父による要約。

『ぜんまいを取りに○山に入ったら岩の上にえらい大きな苔の生えた猿が居た。俺は○○年後の何月何日に死ぬという。ニヤニヤ笑いおってムカつく。妙に馴れ馴れしいのも腹立たしい。なので絶対何月何日には死んでやらんことに決めた』

曾祖父が亡くなったのは、日記に書いてあった日の一ヶ月後・・・。

忘れてたくせに無意識で命日予言に意地を通したらしい、と未だに語りぐさになっています。