怖いというよりか気味が悪いなと思った話。

友人のSの少しおかしな体験。
詳しい時期は、当人が体験したことを片っ端から忘れていくせいでわからないのだが、授業の合間に怖い話をしてくれる家庭科の先生がいたらしい。
内容についてはオーソドックスな都市伝説ものなのだが、先生のキャラというか容姿というか、そうした要素が加わってそこそこ怖かったという。

休憩時間のこと。

クラスの友達と廊下を歩いていた時、窓の向かい側にある教室・・・・・・家庭科準備室に、その家庭科の先生がいるのが見えた。
校舎の形をわかりやすく説明すると片仮名の「コ」の字の形をしていて、家庭科の先生は上の2F側、Sとその友達は下の横棒の同じ階の位置にいた。

場のノリだろう、廊下の窓を開けて家庭科準備室で何か作業をしている先生の背中に、二人声をあわせて「オーイ、先生ー!」と呼び掛けたらしい。
その瞬間、弾かれたように振り返った先生の顔を見て、Sとその友達から悲鳴が上がった。

振り向いたら先生の顔は濁った緑色で、黒一色に染まった目で二人を睨み付けていた。
宇宙人のグレイがイメージ的に一番近かったらしい。

とにかく、ドブ川みたいな色をした顔もそうだが、こっちを睨み続ける先生の真っ黒な目がひたすら不気味で、二人とも慌ててそこから逃げ出した。

見間違いじゃないのかと聞いてみたら、「わしだけそう見えたなら、それで済ますけど。てか、よう考えたら中庭挟んで呼び掛けたんよ。よっぽど注意してなきゃ、すぐ振り向けんのよなあ。あん時、家庭科準備室の窓も閉まってたし」と呑気に笑っていた。

その家庭科の先生の顔がどうしてそういうことになっていたのかという質問も、「知らん。それの後、卒業まで普通にその先生の授業受けたけど、特に変わったこともなかったし」で済まされてしまった。

「気にしなければ気にならへんよ」がSの変なものを見た時の対応らしいけど、他の話も聞いているこちらからすると、こいつの感覚が麻痺してるだけにしか思えない。

後日談として高校の時、帰宅中にその先生に会って挨拶したのだが、完全に無視されたという話がある。
昔の生徒のことを覚えてなかっただけではと言ってみたら、「明るい先生やったんやけど、そん時はごっつい無表情でなー。声かけても前しか見てへんし、ちょいと怖かったわ。怖い話やり過ぎて憑かれてたりしてな」と、面白そうに話しながら酒を呑んでいた。

見たり感じたりできる人からすると、こういう話も笑い話程度になってしまうというのが少し怖い。