洒落にならない程かどうかは人によると思うけれど、怖いっていう感覚の中に少しだけ「悲しみ」が交じっていると、私はとっても怖い。
生きている人も「凄い形相」をするけど、それは裏切られた悲しさからだったりするでしょ。
大変申し訳ないけど、きっとこの話は既出でしょうね。
私は「まんが日本昔話」で見た「ふとんの話」がとっても怖い。

両親に先立たれ、借金取りにふとんまで取り上げられた幼い兄弟が、ちょうど今頃の寒い時期、何も無いボロ屋で抱き合いながら凍死する。
取り上げられたふとんは旅館に引き取られるが、そこに泊まった旅人が、ある晩そのふとんからかすかな声がするのを聞く。

「兄さん寒かろう」

「おまえも寒かろう」

それは僅かでも暖を取り合おうと、抱き合いながら息絶えた兄弟が最後に交わした言葉。
初めてそれをテレビで見たとき、思わず流した涙は兄弟愛に対する感動などではなく、純粋な恐怖からでした。
恐怖を克服して深夜のトイレから戻り、やれやれと布団に包まったときの安堵感。
しかしこの話を知って、それすらも取り上げられてしまったと感じた。

怨念はいろんなものに憑くようですが、何も最後の拠り所であるふとんに憑かんでくれるなよと思ったものです。