裁判員裁判が始まるより前の、とある奥さんの話。

その奥さんは若くして結婚、お相手の男性は年上でバツイチで連れ子がいた。
結婚当初は良かったのだが、その連れ子には精神的な問題があったんだ。
精神病の一種で、『自分に気を向けてもらうために、ワザと死んでもおかしくない行為をする』というもの。
自分の首を吊ろうとしたり、窓の外に飛び降りようとしたり、という事を何度も行うんだ。
無視すると本当に死ぬ可能性があるし、かといって死なせたくないから止めると、さらに行為はエスカレートしていく。

そんな精神病があるとは知らない奥さんは、頑張って子どもの行為を止めてた。
当然、段々とエスカレートしていくその状況を旦那に相談したわけよ。

でも旦那は「それはお前の愛情が足りないからだ」とパチンコに出掛ける日々。
後に、『旦那が再婚したのは、妻に子どもを押し付ける為』だと判明した。
親戚に相談しても、「愛情を持って接さないとダメじゃない」と話を聞いてもらえない。

旦那も親族も頼れず、目の前で自殺しようとする連れ子を奥さんは一人で止めさせる日々。
無論、奥さんの心も体もボロボロになるわな。
だから、連れ子が目の前で自殺するのを止められない時が来てしまうのは当たり前だよ。

奥さんの目の前で死んじまったんだよ、その連れ子。
助けられなかったから茫然自失となった奥さんは、誰かが呼んだ警察官に対して「私が殺しました」って言った。
本当は殺してないけど、自責の念に駆られて言っちまった。
奥さんは連れ子を殺したとして、殺人罪で逮捕。

後で連れ子の行動が精神病の一種で、旦那は子の面倒を自分に押し付ける為に結婚したと奥さんは知る。
でも、裁判では有罪判決が下された。

逮捕される直前の「私が殺しました」と言ったのに、後に無罪だと主張を変えたのは何とも無責任すぎるからとして、罪が重くなったんだと。

その後どうなったかは知らない。
ただ、これを思い出すたびに吐き気がする。