当方、九州の田舎出身。
で、その地域でよくある子供の脅し文句みたいに言われてた言葉が、「夜に出歩くとやなりが通るよ」という言葉。

『見つかる』とか『攫われる』とかじゃなくて、『通る』って表現が自分はとても不思議だった。
『やなり』というものについても近所の人たちに聞いたりしていたのだけれど、ほとんどわからないって感じで、人っていうか家によって『やなり』に対しての考え方も違った。
それ自体知らない家もあった。

悪いモノだったり、良いもの(危害は加えない)だったり様々すぎて、幼心に「これはただの地域特有の脅し言葉だ、勝手に想像してるだけだから考え方が違うんだ」って思ってた。

で、実際にそれらしきものを見たのが小学校低学年くらいの冬ごろの話。
友達と遊び場かどこかで遊んでて、5時過ぎになってしまい、同じ方向の友達2人で暗くなった道を帰るところだった。

九州は雪はあまり降らなくて、畑にできるあのザラザラした氷の粒とかを踏みながら進んでたと思う。
低学年で暗くなるまで遊ぶのは勇気がいることで、怒られるなあ、怖いなぁってそんなことを考えてた。
田舎は家がぽつぽつとしかなくて、街頭も少ない。
ほとんど光が見えない。

そんな中、「あれなに?」って友達が右方向を指さした。
自分も何気なく振り返ると、遠く(といっても畑2つぶんくらい)のほうに青い物体が見える。

友達:「動物?うごいてるよね」

自分:「うん・・・でも青くない?」

友達:「○くんちの犬が服でも着てるんじゃないかな」

その時はなんだかよくわからなくて、とにかく寒くて、そこまで興味もなかったから自分で納得しようとした。

「行こうよ」っていまだに右側を見ている友達の袖を引っ張ったとき、背筋が凍った。

友達の後ろにその青いモノがいた。
スローモーションみたいに動いたと思ったら、自転車くらいの速度でそのまま左に消えていった。
こちらを向いていた友達もなんとなく察していたみたいで、自分と目を合わせ、ダッシュで逃げた。

とにかく誰かのところに行きたくて、自分より近い友達の家に一緒に入った。
ドタバタしていたからか「どうしたのー」と、出てきた友達のお母さんに今見たものを話すと、「えなりさんが通ったのーあららー」とか天然まるだしな意見をもらい、あれが『やなり』なのかと妙に納得した。
その日は父に迎えに来てもらって帰った。

後日、家族にその話をしても、「へー、そういうのなんだ」とか「青いの?」とか、詳しい話は聞けなかった。

名前だけが伝わっていて、実際に見たというのは初めて聞いたらしい。
老若男女親しい人たちはみんな「すごい体験だね」とか言うばかりで全然役に立ちませんでした。

結局良くわからないままになったけど、これが自分が一番怖かった体験です。