あんまり怖くないけど、友人Sと髪の毛の女の話を書いてみる。
もう15年くらい前、高1だったころから現在?までのこと。

たぶん事の起こりは、友人Sが廃アパートに肝試しに行ってから。
昼間だったんだけど、入口からは入れないから、ベランダ伝いに2階だか3階だかを手すり越えで各部屋に移動してたらしい。
すると、とあるベランダの物干しざおに長い髪の毛が束で引っかかっていて、友人Sは気づかずに“それ”を掴んでしまい、手に髪の毛が絡み付いてパニックに。
さすがに怖くなってその日は帰ったそうだが、それ以来、友人Sに髪の毛の長い女が憑いてきてしまった。

当時友人Sは仏間のある古い家に住んでいて、霊道と言うんだろうか?ただでさえ変なものが色々でる場所だったのに、以来、髪の長い女がヒエラルキーの頂点に君臨。
仏間のある部屋にたまに現れるようになったそうだ。

それから数年にかけて友人Sは長い髪の毛に悩まされることになる。

例えばバイト中にトイレ掃除しようと便器を見たら髪の毛がいっぱい詰まってたり、外をホースで流そうと水を出したらどろっと髪の毛がいっしょに流れてきたり、ちりとりでごみを取ってふと見るとその中に髪の毛が大量に入ってたり・・・。

私自身が実際友人Sから聞かせてもらったのは、携帯の留守録。
いつの間にか入っていた留守録で、しばらく風の音のような『ごぉ~~~』と言う雑音が流れ、最後に女の声で『あ、髪の毛が』でぶつっと途切れる。
早口で細い声でしかも雑音の中だから非常に聞き取りづらかったけど、たしかにそう録音されていたと記憶している。

友人Sに「怖くないの?」と聞いたこともあったが、幽霊はけっこう美女だそうなのでオッケーだとか。
実際、ほかの友人が家に泊まりに来てから、そっちへしばらく付いて行ってしまって、その時は残念そうに「いなくなっちゃった」と言ってて、私は神経を疑ったこともある。
すぐまた戻ってきたそうだけど。

その後、いまから7,8年ほど前に生き仏のような祖母が他界して以降、家の守り神がいなくなったせいか霊障がハンパなくなり、家族にも不幸なことが相次いで、他の霊が活性化したせいか髪の長い女も現れなくなり、友人Sが結婚して家を建てた期に実家は引き払うことになったそうだ。

以降、別段幽霊が現れることもなくなったらしいが、先日久々に友人Sに会ったら、こんなことを言っていた。

娘(5歳・長女)が時々部屋の中で「あのお姉ちゃんだれ?」とか嫁に質問することがあったと。
嫁からその話を聞いた友人Sが娘に「どんなお姉ちゃんなの?」と尋ねると、「かみのけのながいお姉ちゃん」と答えたと。

友人S曰く、「まだ居るかもしれんなぁー、ハッハッハ」だそうです。