霊感ないのに、とにかく変な現象とエンカウント率(遭遇するという意味)が高い友人Aから聞いた話。

友人Aの母校には、隔離校舎と言う校舎があったらしい。
隔離校舎と言っても、生徒が急増したために校舎を増築しようにも校内に適当な場所がなくて、しょうがないので一クラス×3学年と言う感じの極小校舎をグラウンドの片隅に建てた。

しかしこの隔離校舎、生徒にはすこぶる評判が悪かった。

一番の理由は、文字通り隔離された校舎のせいで、他のクラスとの交流は絶望的でつまらない&渡り廊下なんか無いから、移動教室に行くのに外靴に履き替えて移動しなくちゃいけないから。

Aは一年二年は隔離校舎ではなく普通の校舎で過ごしてたんだけど、三年になって運悪く件の隔離校舎クラスになってしまった。

「まぁ受験で忙しいし、かえって隔離されてたほうが勉強に身が入る~」なんてAは言ってた。

Aは女の子で勉強が得意なタイプだったから、隔離校舎は成績の悪い生徒が入るものじゃなく、むしろ成績が優秀な子が入る、特進クラスみたいなものだったのかもしれない。

その話を聞いた時、私は何もいえなかった。
前年、文化祭に招かれてその学校へ行ったときにあるものを見てしままい、冗談でも「運が悪かったね~」なんていえなかった。

私が見たもの。
それは、隔離校舎の基礎のコンクリの下に挟まった髪の毛。
うまく説明できないんだけど、床屋で切った髪の毛がもっさーってしてるんじゃなくて、髪の長い女の人が横になって、髪が広がってるような感じで、その上に校舎の基礎が乗ってる感じだった。

文化祭のテンションで誰かがやらかしたイタズラかもしれないけど、怖すぎて食ってた焼きそばをリバースしそうだった。
ちなみに、この髪の毛は私ともう3人別の友人が見ているが、全員他校の生徒だったので、変なトラブルになっても嫌だし黙ってることにした。

そして何事もなく?Aが隔離校舎に入って半年が過ぎた頃、うちに来たAが「聞いてよ!夜間学級に通ってる人たちに噂になりはじめてるんだけどさぁ~」っと切り出した話が以下の話。

前提として、『隔離校舎は、夜間学級を受け入れている校舎の窓からグランドを挟んで見える』と、『隔離校舎は、下校時間になると施錠され、廊下もない(1フロア1教室のため)ので、非常灯もなく真っ暗』と言う2点をがある。

私はこの時点でAが言おうとしたことに察しがついたので、「わかった。夜間学級の人が、真っ暗のはずのAたちのクラスで変なものを見たんでしょ?」と言ってやった。
あの髪の毛のことも忘れてしまいたかったし、ホラー乙wwwでスルーしたかった。
そしたらAがプリプリ怒って、「違うよちゃんと話し聞いてよ!」と言う。

嫌な予感がしたよ。
だって、新学期始まって半年だったんだもん。
もうすぐ文化祭の時期だったんだもん。

案の定Aは、「もうすぐ文化祭で、みんな遅くまで教室に残って準備たんだよ?なのに夜間学級の人が、『隔離校舎はどの階も真っ暗で文化祭の準備をしてない』とか言ってんの!」と言い出した。

Aは、「大体、夜間学級の教室は校舎の反対側で、普通に隔離校舎見えないしwww」っとか、「そもそもサボってたのは本校舎のほうで、窓の外真っ暗だったんだよ」とも言っていた。

私はそのとき、例の髪の毛が隔離校舎を覆っていたんじゃなかろうかと想像した。
だけどAがあまりに普通に話すもんだから、適当に相槌を打ってその話はさっさと終わった。
っていうか終らせた。

後日、Aと同じ学校に通う別の友人から、夜間学級の使う教室は、文化祭の準備の都合で隔離校舎がよく見える教室に移っていたこと、隔離校舎は文化祭の間は閉鎖される(ただし郊外ステージやテントを優先利用できる)ので、教室に夜遅くまで残っていてはダメ、ということを聞いた。

Aたちは校則を破って、夜遅くまで隔離校舎の教室で作業をしていて、それなのに夜間学級の生徒さんたちは、隔離校舎が真っ暗だと言っていた訳で。
あぁ、やっぱりあの髪の毛がって思ったけど黙ってた。
訳わからんこと言って、自称霊感少女にされたくなかったし。

Aが件の母校を卒業して10年近く経つけど、相変わらず隔離校舎は、文化祭の準備期間は生徒は残ってはいけないし、隔離校舎は閉鎖される。
髪の毛の話は、私が話したわけでもないのに学校の怪談の一つになってるらしいが、私が見た『基礎に挟まった髪の毛』の話ではなく、『隔離校舎の昇降口に、びっしりと長い髪の毛が落ちている』と言うものなので、きっと別の話だと思いたい。