三年の夏までは俺よりも頭悪いくらいだったのに、秋くらいになぜか覚醒。
気持ち悪いくらい頭良くなった奴がいた。

同じバスケ部だったんだけど、勉強だけじゃなくて、ある日を境に何かが乗り移ったみたいに上達していた。
引退してたから意味は無いんだけど、本人も本気で気持ち悪がってて、「宇宙人に改造されたんじゃないか」と自分で言ってた。

それで何を思ったのか三年の秋に、俺と一緒に行く予定だった県外の私立大学から、地元の国立へ進路変更した。
そこは結構な難関なのに一発合格。
しかも特別待遇。
そいつは「何か怖いなww」って言ってた。

で、俺は予定通り県外へ出て、ここ一年くらいそいつとは連絡していなかった。
それで先週、そいつの訃報が入った。

一年前までは病気なんて全然しないような奴だったのに、死因は心不全。
ほとんど原因不明らしい。

大学へ入ってからもそいつの覚醒っぷりは凄かったらしくて、何かいろんな賞とかとってたらしい。
その賞金や、貯めてたらしいバイト代とかが全部遺されて、二十歳そこそこの癖に遺産相続やらまで行われた。
何か知らんけど俺はバットとアンプをいただいた。

そういうのが全部遺書みたいに纏められてて、何だか不気味だった。
自殺じゃないのかって疑われてたようだけど、調べてもやっぱり「自然死としか言いようがない」みたいなことを言われたらしい。

“俺の貯金は妹の学費に”・・・とか・・・二十歳の大学生が書いて遺しておくか?自然死なのに?

何か凄い怖い。
あいつなんで死んだんだろう。