曾祖母の話を知っている限り書いてみます。

曾祖母は、恋愛の末にうちの家に嫁いできました。
それは当時としては中々珍しかったらしく、また、我が家は地元では有名な家柄だったそうで、誰もがうらやむような結婚だったとか。
家の人間も曾祖母の人柄が気に入り(とても穏やかな人だったらしい)、大きな問題もなく、輿入れとその後の結婚生活が続いたそうです。

しかし、結婚して1・2年ほどが経ったある日、曾祖母の様子がおかしくなりました。
暴れたり奇声を発するようなことはなかったのですが、いきなり倒れるようになり、食事をしているのに体重が激減し、夜な夜な外を徘徊して、しかも本人はそのことを覚えていなかったそうです。

さすがにこれは尋常じゃないということになり、いわゆる霊能力者?に見てもらうことになりました。
ここから話が一貫しなくなるのですが、依頼した相手は、
・件の神社の神主さん(多分これが本命)
・曾々祖父の知り合いの拝み屋さん
・お寺の人(人ってなんなのだろうかwてきとーすぎる。ていうか、家は仏教関係ないし)
と安定しません。

その診断結果も同じで、
・昔先祖が迷惑をかけた相手に憑かれた。
・犬神憑きの家に妬まれた。
・狐に憑かれた。
・山の神様に気に入られた。
とバラバラの状態です。

ただ、曾祖母の様子がおかしくなって、誰かに見てもらったのは本当だと思います。
ちなみに、俺の実家は日本有数の過疎県にあるんですが、犬神家系というのは結構あります。
一種の差別用語なのかもしれませんね。

そんなわけでお祓いを受けたのですが、様子は一向によくなりません。
そこで藁にもすがる思いで、当時はまだ神棚に祭っていたミヤウチ様の部屋に、曾祖母を寝かすようにしたそうです。

それから何日かした深夜、曾祖母は物凄い悪臭で深夜に目を覚ましたそうです。
いったい何事かと体を起こし、隣で寝ていた曾祖父を起こそうとしたのですが起きません。
どうしようかと考えていると、中庭で”なにか”がうろついているのが見えたそうです。(夏か何かで襖を開けていたのでしょう)

それは猿のような奴で、時々四つん這いになりながら、庭の中心にある岩の周りを歩いていたそうです。
鈍い曾祖母も今までの経緯もあってようやく状況が分かったらしく、震えながら息を殺していました。

そいつはしばらく、同じようなリズムで一定方向に岩の周りを回っていたのですが、突然、岩の後ろに隠れたところから出てこなくなりました。
そして、少ししてから入ったほうから出て、つまり逆向きに歩き出すと、まっすぐに曾祖母の方に歩いてきたそうです。

曾祖母は、必死に曾祖父を起こそうとしたそうですがやっぱり起きません。
そのうちにそいつは、軒下近くまで近づいてきました。

もう駄目だと思ったとき、屋根の上?から大きな手が伸びてきて、(物凄い毛むくじゃらだったらしい)そいつをキュッと掴むと、あっという間に引っ込んでしまったそうです。
それっきりそいつは居なくなり、曾祖母は恐怖から気絶してしまいました。

次の日の朝に曾祖母の目が覚めると、かなり無茶な体勢で意識を失ったのにもかかわらず、きちんと布団に入った状態になっており、代わりにミヤウチ様の神棚はむちゃくちゃになっていたそうです。

曾祖父と曾々祖父は「ミヤウチ様が守ってくれたんだ」と言い、それ以来、曾祖母の体調も元に戻りました。
それからミヤウチ様の祭壇は、巨大なものに変わったそうです。

曾祖母は生前はよくこの話をしていたそうで、「あの時、本当に○○(我が家)の人間として認めてもらったんだ」としきりに口にしてたとか。

以上です。
まあ、俺を怖がらせようと脚色されていた部分もあったと思うので、出来るだけ聞いた話の中から共通する部分で組み立てました。