あれは一年ぐらい前の事だと思う。
俺が青梅にある有名な心霊スポットに、友達何人かと行ったんだ。
そのときもカメラのシャッターがおりなかったり、音声認識のカーナビが無音状態の車内で突然起動したり、変な事は色々あったんだ。
でも、ほんとうにおかしかったのはそれからだった。

その三日後ぐらいだったと思う。
その夜、寝ていた時に突然内臓のどこか・・・というか、下腹部が猛烈に痛み出したんだ。
本当に痛くて血を吐いたり、痛みでベッドの上をのた打ち回った。
救急車を呼んで、病院でレントゲンやら色々検査したら、「小腸に10センチくらいの錆びた釘が入ってる」って言われたんだ。

手術で取り除いたが、医者に「なんでこんな物が入ってるの?」って聞かれたが、答えられるわけも無い。
飯に紛れ込んだとしたって明らかに気づくし、飲み込めるはずない・・・。
突然夜痛み出したのもおかしいし、俺には”あの夜”に、いきなり釘を腸にぶち込まれた気がしてならない。
なんだか得体の知れない恐怖に襲われた。

結局、あのトンネルが関係あったのかどうかは今でも分からないが、たぶん人生で一番洒落にならないくらい怖かった。

すまん、もう少し続きがあるんだ。
やっぱり起こった事実をありのままに書こうと思う。

釘が俺の腸から出てきて何日かたった後、俺は一緒にトンネルにいった友達に連絡を取ろうと思い、携帯やら自宅やらにかけたのだが、なぜかいつもタイミング悪く繋がらない。
電源が切れていたり、自宅にかけても家族が、『ごめん、今外に出てて・・・さっきまでいたんだけど』とか・・・。

そんな状態がしばらく続き、俺はなんとか退院する事ができた。
それから友達とも連絡がつき、一緒に行った友達が家にお見舞いに来る事になった。

この時、俺はまだ「入院したが、退院する事ができた」とだけ言って、詳しい事はまだ言ってなかった。
その友達とある程度世間話を交わしたあと、「そういえば、なんで入院したの?」と聞かれ、腸から錆びた釘が出てきた事を伝えると、見る見るうちに顔が青ざめていった。
そして、「そうか・・・あれは釘だったのか」ってつぶやいた。

どういうことかと思い気になって聞き返すと、どうやらその友人は、トンネルに行って以来、ずっと同じ夢を見続けていたらしい。
それは、自分の腸から細長く真っ黒なエノキ茸のようなものが、一本だけするすると生えてきて、腸の中をもぞもぞと蠢き回る・・・というものだったそうだ。

俺の話を聞いて、友人はやっとそれがキノコではなく釘だったことが分かって、恐怖に震えたのだという。

結局、なぜそんな夢を見続けたのか、釘を入れたものはなんだったのか、そんなのはやっぱりひとッつもわからなかった。
ただ、キノコの夢にしろ釘にしろ、なんとも得体の知れない恐怖を味わった事は確かだった。