親戚ん家の近くに公園みたいなとこがあって、そこには砂場と何かの像とお堂のようなものがあるんだ。
小さい頃、親と一緒に親戚の家に訪ねて行った時、よくそこで時間潰してた。

ある日行ったら、2人の子供が遊んでたんだよね。
滅多に人いないのに。
1人は俺より少し年上、もう1人は年下くらいで、年下の子は像の下で虫を大量に潰してた・・・。
正直引いた・・・。

なんか色々喋って、結局その2人と遊ぶことになったんだけど、その時教えられたのが、『お堂で3回通れば願いが叶う』というもの。
お堂の奥の両端にある物置のようなところ(以降物置と書く)に入り、そこから屋根裏に上がり、屋根裏を通って反対側の物置から飛び降りる、というのを3回行う。
正面からお堂を見て、右から左へと回るようにするらしい。
逆は駄目。
理由は覚えてない。

当時罰が当たりそうで怖かったが、既にいくつも願いを叶えてもらったという2人の言葉に誘惑され、とりあえずやってみることにした。
物置にはその時何も置かれてなく、物置内の天井には天井裏へと行けるように開閉できる板があり、2人はそこを開けてよじ登った。

俺も2人の後に続いたのだが、今思うとよく上れたと思う。
結構高さあった筈なのに。
で、2人は既に反対側の物置の上に待機しており、ここから飛び降りるんだよと板を外し、2人は怖がりもせずトン、トンと飛び降りた。

俺は屋根裏の暗さと飛び降り口の狭さ、床までの高さにビビり、もたもたしながら下りた。
これで1回目。

ようやく下りた俺の腕をつかみ、1回目に上った物置へ行き、2人は再び屋根裏へと行く。
もたもたしながらその後に続き、2人が先にトン、トンと下り、俺ももたもたとトンと下りる。
これで2回目。

次で3回目となった時、2人は俺を待たずにさっさと屋根裏へと上っていった。
俺も急いで屋根裏へと上ろうとしたが、俺が上り切る前に2人はさっさと反対側に行き、スッ、スッと音も無く下りてしまった。

ちょっとは待ってくれてもいいじゃないかと思いつつ、俺も反対側に行き下りようとする。
が、その時だけはなぜかどうしても下りるのが怖くなった。

もともとその狭い飛び降り口も頭ぶつけそうで怖かったし、床も遠いから怪我しそうで怖かったのだが、それでもその時だけは1回目2回目と違い、どうしても下りたくない、下りてはいけないと思った。
だから踵を返し、屋根裏へと入ってきた穴から下りることにしたんだ。
同じ大きさの出入り口、同じ遠さの床の筈なのにな。

で、なんとか下りてお堂に戻ると、2人の姿がない。
お堂に入る時に脱ぎ捨てた靴も無く、お堂の中も外も探したのだがどこにもいない。
屋根裏に入って下りるまでの短い時間の間に、声も出さず、音も無く駆け、靴を履き、帰ったのか、隠れてるのかなと思った。

お堂に続く地面には子供の足跡が3人分はあるけれど、お堂から出た時の足跡は俺の1人分しかなくて、その時は「すげー、どうやったんだろ」とか思ってた。
しばらく砂場で待機してたのだが、飽きたのでそのまま帰った。

最近思い出したのは、その親戚で産まれた子(今小学生)が「こういうことあった」と話してくれたからだ。

その子は、相手が無理矢理腕引っ張ってくるから、気持ち悪い上にムカついてやらなかったらしいが、内容的に俺の体験したことと似ていて、それでふと思い出したんだ。

今思うとこれ、神隠し現場に遭遇したのか、それとも座敷童子と遊んだのか、狐か何かに化かされたのか、幻覚をみたのかなと思う。