幼稚園くらいのとき、両親が出かけていて、家に独りになったときがあった。

俺は昼寝してたから親が出かけていたのを知らなくて、起きたときにだれも居ないから、怖くて泣きながら母を呼んでいた。
で、探してもいないから、あきらめて居間で座って泣いていた。

そしたら、庭の道を女の人が歩いていったのが、窓から見えた。

白い服を着ていて、顔も真っ白で、眼も鼻も口も無いように見えたけど、女性だというのはわかったので、母だとおもった。

その人が通って行った後、すぐに窓を開けて「お母さん!」て叫んだけど、だれもいなかった。

追いかけていって探したけど、やっぱりだれも居なかった。

俺んちの庭はそんなに大きくなくて、隠れるところもないはずなのに・・・。

俺は、その後、二回、同じ女を見た。

二度目はまた一人で居るとき、三度目は姉と一緒に居るとき。

姉も同じ人を見たと言ったので、俺の幻覚ではないだろう。

その後もまた、姉は、一人でいるときに見たらしいので、合計その女は我が家に四回現れたことになる。
いつも同じ姿、つまり全身真っ白で、顔がわからない。
追いかけてもかならずいない・・・。

そして、女は、絶対に窓際の庭の道を、西にむかって歩いていく。

あれはなんだったんだろう・・・。

その後、小学校にあがったら、何も見えなくなった。

で、中学まで何事もなく成長したわけなんだが、中二のとき、友達を家に呼んで、写真を撮った。

俺の部屋には、壁に埋め込み式の、クローゼットがあって、それをバックに写真を撮ったんだが、そのクローゼットに女の顔が映ってて、ぞっとした。

そのあと、学校で話題になって、その写真がほしいって子がいたから、焼き増ししたんだが、それにはなにも写っていなかった。

そのほかにも、部屋のものが勝手に棚から落ちたり、夜中に階段を上り下りする音が聞こえたり、だれも居ないはずの姉の部屋からぼそぼそ女性のこえがきこえたり、毎晩決まった時間にベッドのランプがパチン!て音が鳴ったり、なんかうちの家はいろいろなことが起こる。

でも、一番怖かったのは、中二のとき、金縛りにあったこと。

夜寝ていたら、急に体がうごかなくなって、まぶただけ動かせる。

そしたら、足のほうが妙に重い。

見れないけど、“何かいる”と感じた。

そしたら、ソレが頭のほうに這ってくる。

本当に冗談じゃなく、貞子みたいに。

それで、ついにそいつが俺に覆いかぶさるような形になった。

一瞬、眼を開けたら髪の毛が俺のほうに垂れ下がってきてた。
だから女っていうのはわかったけど、それ以上は怖くて眼を開けられなかった。

んで、どんどんその女が俺に顔をちかづけてきて、頬と頬が触れ合う形になった。

そしたら、「◯◯◯(おれの名前)~~!」って死にそうな声で俺の名前を呼んだんだよ。

その瞬間に失神しちまって、気づいたら朝だったんだけど、本当に怖かった。

その後も金縛りにあったんだが、その時は男が横に立って俺のほうをじっと見てるだけで、何もされなかったからあまり怖くなかった。

俺・・・呪われてるんかな・・・。

今でも、ノックされて部屋の扉あけたら、だれもいないとかざらにある。

実害はないし、もう慣れたよ。

でも金縛りはもういやだ・・・。