汚いものを見たくない人はスルーしてください。

もう何年も前のことだけど、私はDV彼氏と同棲していたのを着の身着のまま脱出して、帰る家がない状態が何ヶ月も続いていたことがあった。
で、18とか19とかの頃で、情緒不安定で人肌恋しかったことも重なり、まあぶっちゃけた話、売春で生計を立てていた。

その頃はまだ出会い系サイト規正法とかもなくて、携帯から探せば腐るほど「そういうの」が見つかったんだよね。

そんなさなかのこと。

残りの所持金が130円とかで、ぎりぎりコンビにおにぎりが買える程度。
ヤバイと思って必死に相手を探してたんだけど、そういうときに限ってなかなか見つからない。
日付が変わる頃っていう、時間の遅さもあったのかもしれないけれど・・・。

普段は「本番」で数万円の人しか相手に選んでいなかったけど、「口だけ」で1万円、10分で行くよ、とメールを送ってきた人がいたから、その人に決めた。

やっぱりこちらも犯罪に巻き込まれるのは怖いし、変な人ってのも嫌だから、いつもメールの文面や自己紹介で、大丈夫そうな人を選ぶようにしていた。(普通に会話が出来るか、極端に太ってないか、とかね)
その点で言えば、彼は会話もちょっと絵文字が入っていてただのエロいおっさんっぽかったし、年齢も30台で、そして口だけならあまり心配することもないかと。

男は可愛い感じの軽自動車で現れた。

待ち合わせ場所は駅だったけれど、深夜だということもあって人気はゼロに近い。
でも車に乗って、何だか日常的でないものを感じた。
それは車がおかしかった訳でなく、男そのものが日常的でない感じ。

変な違和感というか。
何というか、「怖い」と、雰囲気で感じた。

彼は顔に大きな傷があったけれど、それ自体は特に怖いとは思わなかったし、喋り方も気さくで優しい感じなんだけれど、なぜか怖い。
そう感じた時点で車から降りれば良かったものの、降りたところでお金が貰えるわけじゃない。

男は「どうせなら、ちょっとドライブしようか」と、車を走らせた。
ただやるだけ、じゃなくて、ちょっとでも良い雰囲気を作って臨みたいという男性は今までもいたから、特に疑うことなく承諾した。
とりとめもない話をしながら走った。

私は会話が得意な方じゃなかったけれど、男が上手く喋ってくれたからそれなりに弾んでいたと思う。
その会話の中で、私は「帰る家がない」ことも喋っていた。
車はどんどん、山奥へ走っていた。

1~2時間くらいはドライブしただろうか、突然車が閉店したドラッグストアのような建物の駐車場に止まった。
休憩するのか、もしくはここで「する」のか?

無言で様子を見ていたら、男の口調が急に変わった。
頭真っ白にぶっ飛んで、足とか、本気で震えがガクガクで止まんない状態。
涙とか鼻水とか汗とかも出まくってたと思う。

同時に、男と顔をあわせた時に感じた「違和感」にも、納得がいった。
ちなみにこの件の後、別の893関連に巻き込まれた時に知ったのだけど「そういう系」の人達は、そういうオーラというか、雰囲気を持ってるんだよね。
生きてる世界が違うから、そんな違和感を感じるんだと思う。

男の話した内容は大体こんな感じ。

・男に質問は禁止、男の目を見るのも禁止、笑ったり騒いだり抵抗したらこの場で殺す。
・朝鮮系の893で、若い女を「船」に引き渡す仕事をしている。
・出会い系で見つけた家出女なんてどうせ消えた所で誰も騒がない。
・「船」は富山の港にあり、そこに朝4時頃女を連れて行くと、連絡してある。
・「船」がその後どこにいくのか、女がどうなるかは知らない。

男の仕事は、あくまでも「船」に引き渡すまでだという。
あの時の緊張は、本当に心臓が壊れそうな位だった。
自分がこれからどうなってしまうのか、外国に売られるのか・・・。
細かいやり取りはまあ、よく覚えてないのもあるし詳しく書くと何かと怖いんで省略します。

結局私は売られずに「口だけ」で済んで、その上男としばらくメールのやり取りをしたり、男と同じ仕事をしている仲間の特徴を教えてくれたり、案外仲良くなってしまって・・・私自身は何てことなかったんだけども。
試しに自分の値段を聞いたら、60万円くらいだとか。
意外と高いものなんだな、と思った。

で、数年経って冷静に考え、「船」とか「売る」とかは嘘で、ただの脅し文句だったんじゃ?
とも考えるようになった。

けど「口で」する時に、車の中で良い物を、男は「仲間」が経営するラブホにわざわざ入り、その「仲間」にお金を払おうとして「いやいやお金なんて結構ですよ」みたいなこと言われてたり、信憑性があるといえばある。

選択肢を間違っていたら、私も船の上で惨殺されていたのかも知れないと思うと。
まぁ、売春は危ないのでやめときましょう、ということで・・・。