小学校の頃の図書館の壁新聞に書かれていたヨーロッパあたりの民話。
後味悪いというか、ちょっと釈然としない話なんだけど・・・。

ある田舎に真面目だが貧乏な青年が住んでいた。
いくら働いても暮らしは良くならない。
そんな青年の所に醜い老婆の顔をした妖精が現れ、「これからずっと、この家の門をくぐった物の一番いい所を私にくれるというならば、お前を金持ちにしてやろう」と話を持ちかけた。

青年はそれを承諾。
青年はパンでも肉でも何でも、家の門をくぐった物の一番いい所を妖精に分け与えた。

それから青年の生活はどんどん豊かになっていき、結婚の話が持ち上がり、美人の花嫁をもらうことになった。

花嫁を家に連れてきたその晩、妖精が青年に「約束だ、この家の門をくぐったもの・・・花嫁の一番いい所、顔をもらう」と言った。

青年はそんなことはできない、勘弁してくれと頼むが、妖精は約束だと言って「仕方ない、時間をやろう。明日の朝、花嫁の顔を取りに来る」と言い残し、消えた。

仕方なく青年は花嫁に妖精のことを打ち明けると、花嫁は驚き泣き崩れた。

そして翌朝、妖精が顔を削ぐ為のナイフを持って花嫁の所に現れた。
しかし、妖精は花嫁を見た途端「ヒィィ!こんな醜い顔いるもんか!」と叫んでどこかへ消えてしまった。

花嫁は一晩中泣き続けていた為、顔を醜く真っ赤に腫らしてしまっていたのだ。
それから妖精は二度と現れることもなく、青年と花嫁は幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。

約束を破ったのに幸せになるとは・・・。
泣き腫らしたくらいでそんなに都合よく不細工になるのか?と思った当時小学生の自分。