えっと・・・母から聞いた話を。

母は祖母の胎内に居る時、医者ミスでレントゲンを浴びてしまった。
そのせいかどうかは知らないが異常に霊感って奴が強い。
しょっちゅう何も無い所を見ては「・・・出てって」と呟いたり、「死んだじいちゃん、あんた高校落ちるって言ってたよ。」と言ってきたり・・・。
実際に合格確実とされていた高校落ちたし。

そんな母が俺を産んだ時の話。

母は体がかなり弱く、俺を産んだ時もギリギリだった。
36時間以上粘って自然分娩で産んだらしい。
で、産まれてきた俺は2100gの未熟児。
保育器に10日ほど入った。
そして、やっと保育器から出た日の夜のこと。

母の病室は個室で、入り口から入って母のベッド、ベビーベッド、身の回りの物みたいな順番で並んでた。

お腹を痛めて産んだ子供と初めて過ごす夜と言うことで眠れなかったそうだ。
ベビーベッドに寝かされた俺を見ながら幸せに浸ってたらしい。

しばらく経って、母もうつらうつらし始めた時、廊下の方から猫の鳴き声が聞こえた。
母は驚いて振り向こうとしたが、体が動かない。
所謂金縛り。

徐々に鳴き声は大きくなり、それは猫なんかじゃなく、赤ん坊の声だと気付いた。
冷や汗がダラダラ流れて、本気で怖くなったらしい。
静かに病室の戸が開くのを感じた。

その時瞼が勝手に閉じて映像が流れだした。

自分は便器の中にいる。
便器を覗き込むのは、不健康そうな女。
汚物を見るような目で自分を見ている。
女はレバーを引いた。
勢いよく流される。

短い映像だったが、それが何だが気付いた。
トイレで産み落とされた未熟児。
そのまま、流されたようだ。

頭が割れるように痛む。
瞼が開く。

目の前にピンポン玉ほどの頭があった。
ひしひしと考えている事が伝わってくる。

よく分からなかったが、凄く悲しくなってその小さな小さな赤ん坊を手のひらで包み込んだ。
その瞬間、フラッシュが焚かれたように部屋が明るくなった。

母はそこまでしか覚えていないそうだ。

俺は生まれつき心臓が悪く、運動制限をかけられている。
脈動が二重に打つらしい。
まるで、もう一つ心臓があるように。

因果関係は良くわからない。