僕がまだ中学生だった頃の事。
僕等の中学校の校舎はまだ今では珍しい木造で、僕が丁度二年目を終える頃に旧校舎は取り壊し、新しい鉄筋コンクリートの校舎が作られる事となった。

お陰で僕等の貴重な最後の一年はプレハブと言う悲しい結果となった訳だが、この話は旧校舎から一旦全ての学用具を運び出す時に起きた不思議な現象だ。

その頃僕は図書委員と言う無難な委員を任されていたために図書館の本の移動という極めて面倒で体力の要る仕事を任された。
実際本の数は物凄く、数日で分けて運ばなければ済まないほどだった。

本棚から本を抜き、分類別にダンボールに収納し、それをプレハブ倉庫まで運ぶ。
そんな作業を何十回繰り返す。

そうして全ての本が運び出された後、広々とした図書館には空になった本棚以外何も無くなっていた。

最後の作業と言う事で僕らは本棚を持ち上げ、横にしてから解体を始めた。
本棚も校舎の改築に合わせて新調されると言う事だった。

年季の入った本棚の後には年を物語るほどの多くの埃と色々な本が隠されていた。
主には古い怪しげな本や、今まで紛失したと思われる本が沢山見つかった。
にわかに盛り上がる面々。
そんな中に一枚の写真が混じっている事に僕等は気づいた。

手にとって皆で見るとそれはセピア色で白黒の世界。
木造の校舎の前に六人の学生が肩を並べて写っていた。

僕らはこれは何年も前の先輩の写真じゃないか?
この木造校舎が出来て間もない頃撮られたものじゃないか?と言った。

なぜなら校舎の裏にはまだ木々が沢山存在していて、校舎自体も今より傷が少ない気がしたからだ。
それで少しの間、皆で写真を見つめていたら妙な事に気づいた。

なんだか焦げ臭いのだ。
別に何かを燃やしている訳でもないし、誰かがタバコを吸っていたわけでもない。

しかし、皆気づいていた・・・。
写真から焦げくさい臭いがしている。

髪や肌が焼けた臭い。
そして写真を覗くと中の六人は輪郭が無くなっていた。

いや、顔や手が真っ黒に変わっていたんだ。

それを見たとき、僕は体中が熱くなった気がした。
そのまま僕等はぼおっと写真を見つめていた。

どれだけの時間が過ぎたか解らないけれど、やがて図書館に先生が顔を見せる。
そして僕等をみて悲鳴を上げて走り去った。
それで我にかえった僕等が見ていたのは床に着いた写真型の焦げ付きだった。

僕等が見た写真は結局何だったのか解らない。
後程先生に聞いてみると、僕等の顔が無いように見えたと言っていた。

その日、家に帰ると僕は高熱で寝込んだ。

二、三日高熱が続き、学校へ出席した時、僕以外の図書委員も皆高熱で休んでいたらしい事がわかった。

思い返してみると、その時僕等の人数は確か六人だった。
それが関係しているのかも良く解らない。

今では木造の校舎も取り壊され、跡形もなくなってしまった。