高校の頃、電車通学で当時同じ高校だった嫁と毎日一緒に通学してました。

ある日電車に乗り込んだらすんごいイビキをかいてる薄汚いおじさんがいて、俺と嫁はそのおじさんの斜め向かいの席に座りました。
嫁がおじさんを目を皿のようにして見ていたので、うるさいなら車両を変わろうかと提案しました。
すると嫁は首をかしげながら、あのおじさん「すこし黒くない?」というのです。

確かに擦り切れた汚れた服は着ていましたがら別段黒いとは思わなかったのでそう伝えると、「そうではなくて、雰囲気というか、全体に陰りがある、目で見る見え方は普通なんだけど、何か陰ってる」というのです。

私はちんぷんかんぷんでした。

電車はそのまま一時間ほど乗り続けて終点までいくので、いつしか嫁は舟をこいで眠っていました。
そして終点についたので嫁を起こすと、ハッ!と目を覚ますなりおじさんの方を見て、「大変だ!この人死んじゃう!駅員さんを呼んで!」と周りに叫んだのです。

「いびきしてない!動かしちゃダメ!死んじゃう!」とそればかり言っていました。

終点の駅の側には大きな私立病院があったため、おじさんはそこに運ばれていきました。

詳しいことは忘れましたが、脳内で出血が起きたりするとよくある症状で、眠っているように見えるので気づかれないことが多いと聞きました。

そのおじさんが助かったのか解りません。
目の前で人が死にかけていること、それを嫁が良くわからない黒い雰囲気で見抜いたことが脳内のキャパシティ超えました・・・。

電車で乗り合わせた人を救急車に乗せたのはまだわかる。
でもたまたま一緒に乗り合わせただけの人が、救急車に乗せて搬送先を決める間ずっと一緒に居て搬送先を知ったり、結果的に脳内出血だった、と知ることなんてありえないw

嫁は救急車を呼んだ時に「何時何分頃に電車に乗ったさいにすごいいびきだった、こんないびきだった、途中息はとまってなかった、どこそこ駅ではいびきが静かになっていたから何分前にはいびきが止まってたと思う、乗り合わせた時と格好が一切変わってなかった、誰もゆすったりしてなかった・・・」と、そんなことを私の記憶と照らし合わせてたどたどしく伝えたりしてたから、しばらく一緒につきそってたよ。