小学校2年生の冬。

家に帰ったらいつもは母がいるのに鍵が掛かっていて無人だった。
鍵は持っていたので、開けて玄関で靴を脱ごうとしたら靴のファスナーを噛み込んで手間取ってたんだが、玄関から二階に上がる階段を見てたら、二階から母に呼ばれた。

見上げたら二階の襖がスーって少し開いて、手招きする手が。
何だお母さんいたんだ、って「はーい、ちょっと待って靴が脱げない」って返事して、再び靴と格闘、その間も二階から急かすでもなく同じトーンで呼ばれ続ける。

「もしかしてお母さん、どこか悪くて寝室で寝てるのかな?」と思い急に心配になって、靴を脱ぐのは諦めて、片足だけ靴を履いたまま膝で家に上がって階段を数段登ったの。

その時、背後で玄関がガラッと開いて「A子!行儀が悪い!!」って買い物袋下げた母が・・・。

確かに母の声だったから、パニックになって泣き叫んで、母が二階に様子を見に行ったけど、窓も閉まっていたし誰もいなかった・・・。