俺がガキの頃に体験した話。

子供の頃、近所の川で4人くらいで、岩の上飛び移ったりして遊んでた。
そしたら、一人がうっかり深いとこに落ちちゃった。
その川がまた、前日の雨で増水してたもんだから流れが速くて、その友達は瞬く間に流されてさ。
「助けて助けて」って、水面から顔と両手だけ出してバチャバチャもがいて流されていくそいつを、俺たちは必死に追いかけてたんだけど、どうも様子がおかしい。
バチャバチャやってる手が明らかに4~5本見えるんだ。

で、流されてるそいつの頭を、水の中に沈めようとしているみたいに見える。
俺はもう走りながらパニックになって、一緒に土手を走ってる友達2人の顔を見たら、二人とも青ざめて泣いてんの。

俺たち3人はもう泣きわめきながら、「助けて!助けて!」って必死に追いかけるしかできなくて。

そしたら、運よく道路工事してたおっさんの集団に出くわして、2、3人が飛び込んで、一気に流された友達を引き上げてくれた。
幸い意識はしっかりしてたし、怪我とかもなかったんで大事にはならなかったけど、一応救急車呼んでくれて、その日はおっさんたちとか親にしこたま怒られた。

次の日、学校で4人集まった時に手の話をしたら、やっぱり二人とも同じものが見えてたらしい。
流されてた奴は全くそんなものに気付かなくて、逆に「作り話だろ」って怒り始めて、そいつ、こう言ったんだよ。

「何でお前ら笑ってたんだよ!俺が必死で助けてって言ってんのに!」

そいつには流されている間、ずっと笑い声が聞こえてたらしい。
何人もの笑い声がアハハハアハハハって。
それ以来、俺は川が怖くてしょうがないんだわ。