私の友達(以下A)と、その姉(以下A姉)の話です。

AもA姉も霊感の強い方で、特にA姉はしょっちゅう霊体験をするらしい。
部屋のコンポ消して茶の間に行くと、茶の間着いた瞬間にコンポがついて大音量が流れるとか、寝てたら部屋で知らない子供が走り回るとか、日常茶飯事だった。

そんなある夜、いつものようにベッドに入り寝ていたら、頭の方から「ペタペタ・・・パタパタ・・・」と、小さな子供が歩くような音が聞こえたらしい。
頭側にはベランダがあり、A姉は「誰か来ちゃったか」程度に思い、放おって置いたらしい。

しかしひたすら歩く子供。
ベランダを行ったり来たりするもんだから、奥に行けば足音が小さく、こっちに近づけば足音が大きく聞こえる。

「早く帰ってくれないかな」とA姉が考えていると、足音がこちらに近づいてピタッと止んだ。

A姉は、消えたと思ってベランダを見やると、黒く汚い小さな子供の足があった。
足先をこちらに向けて、ぴったり足を閉じて立っていた。
すごくグロテスクだったらしい。
その時はじめて寒気を感じたA姉は、「ごめんね、私には何もできないよ、ごめんね」とひたすら念じた。
するとその子供は消え、ほっとしたA姉はそのまま眠りについた。

翌朝、A姉が母に「昨日か今日、この近くで何かあった?」と聞くと、母は、「あぁ、そういや、何十年か前に近所で火事あったらしいよ。そこの小さい男の子が取り残されてね。昨日そんな話◯◯さんとしたわ」

8月20日のことだったらしい。
A姉は納得して、その子昨日来たよ、などと話したらしい。

その話をAに聞かされ、ガクブルしたのが中学2年か3年だった。
その後Aとは同じ高校に進学し、同郷ということで親交は深まり、仲の良いまま卒業した。
進学し、お互い別々の土地で学校に通った。

そして久しぶりに仲良い奴らで集まろうと、9月に飲み会を開いた。
そこで、Aは最近一人暮らしにしたこと、タバコ始めたこととか色々聞いた。
そして、Aは声を落として話しはじめた。

その日はすごく蒸し暑い夜で、窓を開けて編み戸にしていたようだ。
風がまったく入らずに、グダりながらタバコをふかしていたらしい。(北海道なのでクーラーはない)
しばらくすると、なぜかタバコの煙が流れた。

あ、よし、風が入ったか、とAが思った瞬間、焦げ臭い。
異様に焦げ臭い。
それは編み戸を通して入ってきているようだった。
その臭いは段々と強まる。
きっと近づいてきている。

鳥肌が立つA。

怖い怖い怖い!

しばらく固まっていると、その臭いは消えたらしい。

冷や汗タラタラ、震える手で急いで携帯電話で自宅にかけた。
するとA姉が出た。

A姉「姉ちゃん!今、外にすっごい焦げ臭いのが・・・!」

早口にA姉に始終を伝えようとすると、A姉は、『あ~、そっちにも行っちゃったか』と。
その日は8月20日。

火事で亡くなった子供が、50kmは離れているだろうAの家までやってきたらしい。
当然、その子供はA姉の元にも出現している。

・・・と、いう話です。
Aははじめてのハッキリした心霊体験だったそうです。