4半世紀以上前にNHKでやっていたドラマ『あの角の向こう』。
主演は西村晃で気の小さいサラリーマン役。
その親友役にハナ肇。

主人公はこつこつ貯めた金でささやかなマイホームを夢見ており、ある日、やっと自分の家を手に入れる夢が叶う。
しかし、その話をもってきたのは悪徳不動産業者で、主人公はなけなしの資金と引き換えに、なにもない空き地を買わされてしまう。
だが彼は、夢が叶ったと喜んでいる家族にどうしても本当のことを言えない。

そうこうするうちに話はどんどん進んでいき、実際には引っ越しできないのに、周りから新築祝いとか、荷物を運ぶ段取りがセッティングされてしまい、主人公はますます本当のことが言えなくなってしまう。

そのたびごとに親友は何かと相談に乗ってやり、「本当のことを言うんだぞ」と言いつつ、半分あきれつつ一時しのぎのための方便を世話してやる。
大きな荷物だけは前もって送ったのだが、もちろん家はないので、野っ原にタンスなどが置き去りになっている。

ついに最終的な転居の日が来た。

今の家からも立ち退かなくてはならない。
夜になって主人公と家族は小さなリヤカーに残りの荷物を載せ、『転居先』へととぼとぼ歩いていく。
その途中、主人公は親友の家に立ち寄り、「何とかならないか?明日こそホントのことを言うから」と頼み込むが、さすがに堪忍袋の緒も切れた親友は、冷淡に「勝手にしろ」と言い放つ。

頼みの友人からも見放された主人公は、家族とともに夜の闇の中『転居先』に向かう。

「ねえ、もうちょっとで新しいおうちに着くんだよねえ」と我が子に聞かれ、主人公は、「そうだよ、そこの角を曲がったところだ、いや間違ったかな。そうだ、もう一つ向こうの角、あの角の向こう・・・」と言うところでエンドロール。

大昔のドラマなので、細かいところは俺の頭の中のイメージです。
ただ、大筋としてはこんなとこかな。

ラストシーンはガキの頃の俺にとってかなりインパクトのあるシーンで、「あの後、この一家はどうなるんだろう」と、あとで夢に見るくらいでした。