月の大きさは太陽の約400分の1、そして、地球から月までの距離も、太陽までのちょうど400分の1になっている。
400という数が一致している理由は分かっていない。
まったくの偶然の産物だと思われている。

じつは、月はもともとずっと地球に近かった。
いまから45億年前、地球が生まれてまもなくには、月はずっと近くて大きさはいまの1・5倍もあった。

月は毎年約3センチずつ地球から遠ざかっている。
それゆえ月までの距離が太陽までのちょうど400分の1になっているのは、いまだけなのだ。

人類はたまたま、この時期に地球上に生きているわけなのである。
月がしだいに遠ざかっているために、日食はやがて金環食だけになり、それも、輝くリングの幅がどんどん大きくなっていって、いまよりも、まぶしい金環食になることは間違いがない。

いや、ただまぶしいだけではない。
太陽の輝きは1億年ごとに1%ずつ光度が増えていっているのだ。

太陽はますます明るく、大きくなっている。
だから10億年もしないうちに、地表の温度は摂氏100度にもなってしまう。

これは地球科学の冷徹な計算結果なのだ。
海は沸き立ち、私たち地球上に生物が住む環境は失われる。

地球物理学者は残酷な未来を知っているのである。