うちの母の田舎の話。

母の家は地主みたいなのの分家で、本家にも母と同い年くらいの兄弟がいた。

今から三十年くらい前。
本家の長女(当時20代位)は恋人がいた。
でも、恋人は母子家庭の貧しい青年。
地主の家系の女の子の両親は猛反対した。
それでも、結婚したいと二人はお願いしまくっていたらしい。

どんなに頼んでも二人の恋は許されなかった。
その後二人は山で心中、女の子のお腹には赤ちゃんがいた。

葬式の時、青年の母がきて「死ぬ程愛した娘さんです。せめて骨のひとかけらでも一緒に埋葬させてください」と頼みにきた。
しかし本家の人間は追い返した。

それから三十年。
亡くなった女の子と年が近かった親族はみんな結婚して子供がいる。

でも、本家の残された二人の姉弟には三十年全く子宝に恵まれない。
金に物言わせて不妊治療をしても駄目。
あととりが出来ない。

母の田舎では祟りだと有名な噂。