重力もダークマターも存在しない

オランダの物理学者エリック・ヴァーリンデ教授は、ダークマターの存在を仮定しなくても銀河の回転速度問題を説明できるとする新理論を発表した。
ダークマター(暗黒物質)は、宇宙の大半の質量を占めながらもこれまでまったく観測されたことがない謎の物質。
見えている天体だけでは説明がつかない天文学的現象を説明するために導入されたダークマターだが、ヴァーリンデ教授の理論が正しければ、そもそもそのような仮定をする必要がなかったことになる。

ヴァーリンデ教授は2010年、「重力は存在しない」という理論を発表して話題になった。
その理論によれば、重力とは自然の基本的な力ではなく、見かけ上の現象に過ぎない。
ミクロの粒子の運動によって熱という現象が現れると説明できるのと同じように、時空構造内に保存されている情報の変化によって現れる現象として重力を説明できる。
この理論はエントロピック重力論と呼ばれている。

渦状銀河の外周部は、通常の天体の量によって説明できるよりも遥かに速い速度で回転していることが分かっている。
従来の重力理論でこの現象を説明するためには、観測できないが存在している大量のダークマターを重力源として仮定する必要があった。
ヴァーリンデ教授は今回、エントロピック重力理論を適用することで、銀河の回転速度を正確に説明できることを示した。

ヴァーリンデ教授:「新しい重力理論が観測結果と一致するという証拠を得た。大きなスケールでは、重力はアインシュタインの理論予測のとおりには振舞っていないように見える」

ヴァーリンデ教授の理論の核には、トホーフトとサスキンドによって導入された「ホログラフィック原理」がある。
ホログラフィック原理では、宇宙のすべての情報は、宇宙を取り巻く巨大な球体の表面に記述可能であるとした。

一方、ヴァーリンデ教授はホログラフィック原理を修正し、宇宙の情報の一部は空間そのものの中に保存されるとする。
この余分な情報の存在によって、ダークマターやダークエネルギーを説明できるという。