高校1年の冬のこと。
地元仲間の4人でみんな揃って原チャリの免許を取れて、夜中にヒマこいてた俺らはあてもなくツーリングしてた。
うちの地元は山の上に無理やり作ったような街で、とにかく坂道と森が多い街だった。

んで、隣町に続く山の中の道を走ってる時、ツレのひとりが急に足を止めた。
ガス欠かな?と思ったが、どうやら様子がおかしい。
何があったのか尋ねてみると、「森の中に何かがいた」と言う。

やんちゃ盛りだった俺らは、タヌキかイタチだろうと思って「正体暴こうぜ」なんてノリになり、原チャリのヘッドライトで山道を照らしながらワイワイガヤガヤやってた。

その時だった。
山の中の音が一瞬で急に無くなった。
文章だと伝えづらいが、テレビのミュートみたいに木々のざわめきも虫の声や羽音なんかも突然途絶えた。

一瞬呆然となった俺らを正気に戻したのは、森の中から聞こえてきた奇妙な音。
坊さんが持ってる錫杖?みたいなシャン・・・・・・って音だ。

みんな音の鳴る方向に警戒しながら目線を固めていると、微かに線香の香りを振りまきながらそいつは静かに姿を見せた。
察しの通り、袈裟を纏って錫杖と鈴みたいなのを持ってたそいつは、肉がある部分がすべて白骨化していた。
周りは真っ暗なのにやたらハッキリ見える骸骨坊主に、俺らは言葉と考える力を失った。

袈裟はボロボロで、劣化というより風化という表現がしっくる感じで、骨もマンガや模型みたいな白じゃなく、所々が茶色くなってて、歯の部分もガタガタだった。
骸骨は弱々しく地面に錫杖の底を叩きながら、ゆっくりと俺たちの方に滲り寄ってきていた。

俺らは、バイクをほっぽりだして、なりふり構わず一目散に逃げ出し、隣町のコインランドリーに駆け込んで、ガタガタ震えながら夜明けを待った。

翌朝、身も心もボロボロになりながら帰宅すると、お巡りさんからバイクの不法投棄疑惑があるとお呼び出し。
みんなで必死に事情を説明するも、まともに対応してくれなかった。
んで、みんなで不本意ながらも「もう不法投棄はしません」って始末書書かされて帰らされた。

間もなく30歳手前になるが、幸いにも祟り・霊障の類いはこれといって無いままだ。
彼に遭遇した友人らもみんな元気なままで、たまに「あれは何だったんだ」と話題にあがる。
夜間は避けるが、今ではあの道も通っている。

不思議なのは、あの街で生まれ育ってきたけれど、土地神だの山の主だの、ホラテラの名作によくあるローカルな伝話などひとつもないことだ。
今思うとあの骸骨坊主は、現世とあの世の境界をさまよってただけの霊的な存在だったんじゃないか?と思う・・・てか思いたい。

気の利くオチもない長文にお付き合い下さいましてありがとうございます。
ちなみに、あれから骸骨を見るのはちょっとトラウマになった。