去年の夏の話です。

新しく引っ越したアパートで、天井から音がするようになったんです。
なにかが這い回るような音でした。
いつも和室の方で聞こえました。

ある日、彼を部屋に呼ぶことになり、私は「そうだ。なんの音か、彼に見てもらおう」と思い、押入れの天袋から屋根裏を見るようお願いしたんです。
彼は懐中電灯をもって屋根裏を覗いてくれました。
首から上が天袋にすっぽり入っています。

2~3分でしょうか。
彼は無言で見ていました。
私が「どう?」と聞いても、まったく反応しません。

「大丈夫かな」と思っていると、彼が一度ピクッと動いて、そのあと、頭を戻しました。そのときの顔が異常でした。
別人の顔・・・・・・というか宇宙人のような顔で、私は驚いて固まってしまいました。

すると彼は「あっ」っと言って後を向き、手で顔を覆いました。
次に振り向いたときはいつもの彼でした。

彼はソファーに座ると、天井の電気をじーっと見ていて、そして、やたらにペロペロと舌なめずりをしていました。

私が「・・・・・・ねぇ・・・・・・どうしたの?」と言うと、彼は上を向いたまま、こう言いました。

彼:「おまえは、たぶん大丈夫だから」

そして彼は、テーブルにあったお菓子やおつまみをいきなりガツガツ食べ、あっという間に完食。
そのままなにも言わず部屋を出て行ってしまいました。

それ以来、彼はずっと行方不明です。
携帯も不通で、自宅や実家にも帰っていないそうです。
ちなみに、あの音はその日から聞いていません。